『おじゃる丸』 「さらば、まったりの日々よ」


 おじゃる丸20周年特番アニメです。

 


 おじゃる丸が目覚めると、なんだか月光町の様子がおかしい。みんな、いつもより「ちゃんと」しているのだ。

 

 川上さんは遅れずにバスに乗り、カンブツさんは手堅い商売を展開し、ケンとうすいは身だしなみを整えて就活中。
 マリーさんは思い出の下宿を取り壊し、お化け屋敷の館長さんは屋敷の会館を夏限定に変更し、満願神社の狛犬コンビはただの狛犬として動かない。
 カズマも「ちゃんと」してしまい、「これからはちゃんと勉強するから、おじゃるとはあまり遊べないよ」なんて突き放される始末。なんてことのない小石を見せても何の反応もしないのだから、もはや別人である。

 

 涙に暮れるおじゃる丸だったが、果ては電ボまでもが、「ちゃんと」したなんの変哲もない蛍へと変身してしまう! このままではいけない! 唯一「ちゃんと」していなかった小鬼トリオと一緒に、異変の原因を探るため、平安町へと向かう四人なのであった……。

 


 あらゆるキャラが「ちゃんと」してしまったおじゃる丸メンバーの面々ですが、こうてみると今までどれだけチャランポランな人たちだったんだ。まあそこが魅力なんですが。個人的には「ちゃんとしたツッキー」がツボでした。怖っ!

 


 後編です。

 おじゃる丸と小鬼トリオは、すっかり「ちゃんと」してしまった月光帳から脱出し、平安町へやってきた。ところがなんと、平安町まで「ちゃんと」しているではないか! まるで尸魂界である! やちるちゃんいないかな?
「ちゃんと」した両親に捕まり、「ちゃんと」した赤紫式部から、「ちゃんと」した教育を施されてしまうおじゃる丸。このままでは身が持たんと、いつもは敵対している小鬼と協力して、エンマ界に逃げることに。

 

 しかし案の定、エンマ様も「ちゃんと」していた!
 シャクの力を借りずとも、しっかり仕事をしているエンマ様に、お役御免を言い渡されてしまう小鬼トリオ。ちなみに、シャクも「ちゃんと」して、ただのシャクに変わっています。
「ちゃんと」した世界で「ちゃんと」生きているかつての仲間たちを見て、くじけそうになるおじゃる丸。そして、ついに小鬼たちまで「ちゃんと」しそうになる始末。そんな時、「ちゃんと」の原因が判明する。

 みんなが「ちゃんと」し始めたのは、「ちゃんとの泉」の蛇口が緩んだせいらしい。ていうかおじゃる丸が緩めちゃったらしい。犯人はこいつです。ともあれ対策が分かった四人は、「ちゃんとの泉」の蛇口を締めなおしに向かうことに。


 けれど、蛇口までの道のりにはおじゃる丸が苦手とする水がたっぷり。困ったおじゃる丸は小鬼に抱えてもらうことに。小鬼、超優しい。

 しかしその途上、再び「ちゃんと」しそうになる三人。「ちゃんとの泉」に直接触れているため、気を抜くと「ちゃんと」しそうになるのだ! 一人、また一人と「ちゃんと」して、離脱していく小鬼を説得しつつ、おじゃる丸はすんでのところで蛇口にたどり着いた。

 あとは蛇口を締めれば一件落着、しかしその時!
 おじゃる丸は、うっかり蛇口を反対向きに回してしまうのだった! あるよねこういうこと。
「ちゃんとの泉」からの流出が止まらず、たちまち蛇口が水底へ隠れてしまう。このままでは、「ちゃんと」が収まらない。大ピンチ!

 

「ちゃんと」した小鬼たちは、もう諦めるようにおじゃる丸を諭す。「ちゃんと」していることの何が悪いのか、おじゃる丸は、もう十分頑張ったではないか――

 けれど、おじゃる丸は、「ちゃんと」しているカズマより、優しく、温かいカズマが好きなのだった。カズマに戻ってきてほしい!

「ちゃんと」の洪水を止めるため、苦手な水に飛び込み、決死の覚悟で蛇口へ向かうおじゃる丸。おぼれそうになるおじゃる丸だが、そこに謎の影が迫る。

 それは「ちゃんとしたウシ」と「ちゃんとした電ボ」の助けであった!

 ウシと一緒に潜り、電ボの光に導かれ、今度こそ「ちゃんと」蛇口を占めるおじゃる丸なのだった。


 そうして、月光町にはいつもの通り、チャランポランな人々の暮らしが取り戻されたのでありました。めでたしめでたし。


 いやあ、アニメ世界のキャラクターたちが「ちゃんと」し始めると、一気に現実的になりますね。ケンとうすいが夢を諦めて就活しているシーンの世知辛さなんて、流石に子どもには分かんないでしょう。でもね、大人もね、そう悪いことばかりじゃないんですよ――(遠い目)

「ちゃんと」するのも大事だけど、もっと大切なこともあるはずだ、というテーマの特番でしたが、おじゃる丸はいつまでも「まったり」なアニメであってほしいと願うヒダマルでした。