『少女終末旅行』  第六話「故障」「技術」「離陸」


「今期最も声優が少ないアニメ」として名を馳せる『少女終末旅行』も、折り返し地点に入りました。今回は、4人目の人間が登場するようです。

 良い人でありますようにっ。

 

 


「故障」

 暖かな晴天の下、ケッテンクラートが故障してしまったようだ。チトの努力もむなしく、うんともすんとも動かない。……え、それって普通に死ぬのでは。

ユーリ「穏やかだ……」
チト「絶望的だ……」

 対照的だー。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 


 焦るチトに、「もっと絶望と仲良くなろうよ」と諭すユーリ。まあ終末が日常ですからね。そんなにいつも絶望絶望してたら身が持ちませんよね。でもね、今回は命の危機だと思うの。
「一番上どころか、どこにも行けない」と嘆くチトですが、あ、チトさん後ろ!

 謎の飛行物体がフレームインしてますよっ。それを追っかけて走る何者かも一人、あ、こけた。…………えっと、動きません。

ユ「……、死んだかっ」
チ「いやいやいや」

 

 

 ヘルメットと銃を装備し、謎の人物に近寄るチト&ユーリ。こういう時は、しっかり表情を引き締めるユウさんです。

 

 むくりと起き上がったのはメガネの女性。ぶつけた頭を気にも留めず、三石ボイスで「成功だ」「うまく飛んだぞ」と呟きます。
 寝落ちしかけるも立て直し、望遠鏡で飛行機を観察、「よし、安定してるな」とか言ってメモメモしてます。不思議な人だ。

 

 目の前に立つ2人に気付いてすらいないご様子で、あ、気付いた。うん、やっぱり三石さんですね。

 女性「わっ、びっくりしたっ。何だお前ら……」
チ「こっちがユーリで、私がチト」
ユ「ふたり合わせて~!?」
チ「あの、成功だってのはもしかして――」

 神よ。
 人間とは、これほどまで華麗に、相方のボケをスルーできるのでしょうか――。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 


 先ほど飛んでった飛行機、この女性が作ったのだという。見立てによると、壊れたケッテンクラートも直せるらしいです。超ラッキーです。世ではこれを主人公補正と呼ぶ。
 しかし、代わりに手伝ってもらうことがあるという。ギブアンドテイクですね。君にジュースを買ってあげるんですね。なるほど。

 

 女性の名は「イシイ」。
 連れてこられたのは、古い空軍基地であるという彼女の住処。

 イシイ「かつては食料生産施設が(ユーリ:パアァァァ)……、あったんだが(ユーリ:すん。)、今はもう動いてない」

 ここも使えなくなるのは時間の問題だという。終末だなぁ。ユーリかわいいなぁ。

 


 そして本題。

 イシイが明かりをつけると、そこには完成間近の飛行機の姿が。
 ケッテンクラート修理の対価は、飛行機の製作を手伝うことでした。飛行機が完成した暁には、イシイはこの都市を出るのだとか。

 他にも、都市ってあったのか……。
 というか、陸路じゃ出られない環境だったのか……。

 

 


「技術」 

 お湯とシャワーに感激する2人。イシイもどうやら良い人みたく、ヒダマルは嬉しい限りです。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

 2人がお風呂から上がると、イシイはなにやら謎の物体を茹でている。「あちあち」言いながらチト達へ手渡すが、ナニこれ湯たんぽ?

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 〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

イシイ「芋だ」

 

 いやいやいやいやいやいや。

 イシイさん。

 

イシイ「本来、粉にしてレーションの材料にするらしいが」

 

 って、いやいやいや……。いーや。
 芋? これが? 絶対なんかの加工食品ですって。既にヒトの手が加わってるって。
 でも食べてみると美味しそう。え、本当に? これが芋?

 


 イシイへ、飛行機の製作動機を問うユーリ。何故、たった一人で飛行機を作ろうなどと考えたのか?
 彼女曰く、設計図や図面の記録があったのだという。そういえば、この部屋の壁に貼られていますね。

 けれど、飛行機を作ったとして、飛び立ったとして、どこかに辿り着ける保証もない。

 最悪、落ちれば死ぬ。

 イシイの身を案じるチトに、

イシイ「どこにも行けなければ、それこそ絶望だろう?」

 とクールに返して見せるイシイなのだった。

 

 

 


 翌日、飛行機作りに取り掛かる3人。

 2000キロは飛べるらしい飛行機ですが、飛行機なんて折り紙とレゴブロックでしか作ったことのないヒダマルにはよく分かりません。前にも述べましたが、電子レンジとかどうやって作るのか想像もつきませんし。

 人類がほとんど滅亡した後に、失われた技術を復活させるというのは、想像できない苦労だと思うのです。プロジェクトX並みの。特に飛行機なんてデータと経験の蓄積ですから。

  

 

 無事に直るケッテンクラート。命拾いしたとホッとするチト。「絶望の歌」をうたうユーリ。この歌、サウンドトラックに入れてほしいな。


 ついに飛行機が完成した。

 お祝いに乾杯する3人。水で。質素だ。
 ついでに今日は芋ふたつ。ごちそうだ。

 この芋(?)、西の食糧生産工場にはまだ少し残っているらしい。チト&ユーリの次の目的地が決まりましたね。

 一方、イシイはどこを目指すのでしょうか。
 基地に残されていた航路図によると、昔は隣の都市との交流があったのだとか。望遠鏡で対岸を確認できるくらいですから、2000キロ飛べるのなら楽勝でしょう。

 

 

 

 

 「離陸」


 翌日、飛行機をバックにイシイの写真を撮る。
 誰かが見ていれば、それはきっと歴史になる。人類最後の飛行者かもしれないイシイ。歴史の末端に刻む終末飛行。
 コクピットに乗り込んだイシイに手を振るチト&ユーリ。

 ――出発。

 

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〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

 エンジンに火が入り、プロペラの回転が徐々に早まる。

 地面を捉えた車輪が力を伝えて、機体はゆっくりと倉庫を抜け出し、徐々に加速、自らが目指す大空の下へと駆けて行く。

 申し合わせることもなく、一緒に窓へと駆け寄るチトとユーリ、彼女たちの瞳に映ったものは。

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 天に響くエンジン音と、飛行機に遮られた太陽の光だった!

 

 


 エンジンは唸りを続け、プロペラが朝の大気をかき混ぜて、翼は風を受け揚力を生み出す。

 イシイの作った飛行機は、今、確かに都市の上空を飛んでいた。

 

 滅びゆく都市から逃れるように、彼女の希望を空へ運んでいた。

 

 

 


 青空の中へふわりと浮いた飛行機と、イシイの面影を見届けて、喜びの声を上げるユーリ。

 チトは声も出ず、感嘆の吐息を漏らしながら、その後姿を見送ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 が。

 

 

 突如、飛行機の片翼が折れる。

 


 揚力とバランスを失い、空中で分解され、一直線に地上へと落ちていく、イシイの作った飛行機。イシイと作った飛行機。

 イシイの乗った、飛行機。

 

 

 絶望に膝を折るチト。

 

 

 

 ユーリはしばし無言だったが、

  

 

ユーリ「チィちゃん! 見て!」

 

 

 

 即座にチトが立ち上がり、必死に単眼鏡を覗くと――、空の上には、落下傘を広げて降下する人影が。
 安堵の息を吐くチトだった。

 

 

 

 

 

 空中では、イシイが風に身を任せ、ゆっくりと下層へ落ちていきながら、これまでの努力を振り返っていた。

 

 ――やっぱり駄目だったか。

 ――あっけないもんだな。

 ――長い間一人で。一人で頑張って来たが。

 


イシイ「でもまぁ。失敗してみれば――、気楽なもんだな」

 

 

 飛行機が大破して、理想は破られて、希望も折れたはずなのに、なぜだか笑っているイシイ。
 そんな彼女を見て、「仲良くなったのかも。……絶望と」なんて呟くユーリでしたとさ。

 

 

 

  いや、飛行機が壊れた時にはどうなる事かと思いました。見ていて思わず「うあーっ」と声が出てしまいましたが、イシイさん、生きててよかった。

 下層で生きていくのは大変かもしれませんが、でも、とにかく、生きててよかったです。