『少女終末旅行』  第九話「技術」「水槽」「生命」


ユーリ「くらい。くーらーいー」
チト「うるさい」
ユーリ「はっ。なんか前にも似たような会話をしたような……」
チト「あそこよりはずいぶん明るいけどね」

 うん、してましたよね第一話で。懐かしい。

 

 

 

 暗い屋内を移動する2人。何か動いてるような音がしますので、この施設は生きてるのかもしれません。

 そしてタイトルロゴ。
 えっOPナシ? 遊び心溢れる『少女終末旅行』、ちょっと今回も期待できやしませんかっ!?


「生きてる」という事象や、「生命」に対する定義について議論(?)をするチト&ユーリ。今回はちょっと深い話みたいですね。雰囲気が違います。

 そこに、何か不穏な機械音が。
 現れ出たのは、


 ロボ!?

 起動要塞っ!?


 なんでしょう今の。エンカウントしたら死ぬやつですよ。
 驚きを隠せないチトとユーリ。

ユーリ「ねえ、さっきのなんだと思う? なんか、なんかデカいやつ」
チト「語彙がなさ過ぎるな……」
ユーリ「あれって生き物なのかな?」
チト「いや生き物じゃないだろう。どう見ても機械だったし。そもそも機械は息もしないし意識もない」

 なんか、「生命」の意義を考えさせるような哲学的な会話です。

 

 ところで、お2人の会話からすると、もうこの世界には人間以外の生物がいないらしいです。「洗濯」の時の魚は例外中の例外だったのか……。

 そんな会話を交わしている最中、

チト「いた」
ユーリ「魚」

 いましたっ。人間以外の生物っ。
 魚です。大きな水槽の中で悠々と泳いでいます。いつか食べたのと同じ種類っぽいですね。

チト「生きてる」
ユーリ「存在したね」

 ですね。
 シャッターチャンスを逃さず記録を取るチトさん、マメですね。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

 そこに、再び不穏な物音が近寄ります。
 ちょっともたつきながら、小銃を構えるユーリ。危険を察知する能力はユーリの方が何枚も上手です。良いコンビだ。

 警戒する2人の前に現れたのは。
 なんと、機械。自律機械です。

 そして、

機械「こんにちは」

 喋った……。

 喋る自律機械に対し、「あの魚が食べたい」と所望するユーリ。いやいや、ちょっとは驚きましょうよ。

ユーリ「えー! いいじゃんかー!」
機械「ダメです。あれは私が管理している魚ですが、部外者が干渉することは出来ません」

 どうも、魚の養殖施設を管理するAIみたいですね。ロストテクノロジーだ。ちな、機械の声は梶さんです。声優が少ない代わり、ゲストキャラは毎回豪華ですよねこのアニメ。

 

 一貫して魚の命を守る自律機械さん、よだれを垂らすユーリの食欲にも折れません。
 それでも無理矢理食べようと主張するユーリに対し、警告の言葉を述べる機械さん。

機械「やめてください。本来なら攻撃的な部外者に対して警備機械を呼ぶことが出来るのです」

 もしや、人間に反旗を翻すAI的なっ……

機械「が、現在は通信が途絶えています」
ユーリ「ダメじゃんっ」
チト「おい」

 自ら弱点を晒す機械さん。
 ……なんか、「かばんちゃん」みたいなネーミングにしっくり感が芽生えてきたヒダマルです。

 

 ちなみに、チト達が先ほど遭遇した巨大機械は警備用ではなく、区画整備用の建設機械だそうです。ここらで稼働しているのは、あの巨体と彼だけなのだとか。ロストテクノロジーも終末終末してますね。

 魚は食べない代わりに、この施設や機械のことを教えてほしいと願い出るチト。知識欲旺盛ですね。
 まだ魚を諦めていないユーリ。食欲旺盛ですね。

 


 巨大水槽の下に案内されるチト&ユーリ。水族館によくあるやつ。「こんなたくさんの水の中に入ってみたい」と感想するユーリに、「入ってみますか?」と機械さん。

 曰く、この施設は食料の大量生産(ユーリ「大量っ!?」)を担っていたそうですが、今や魚がいるのは、先ほどの水槽だけとのこと。

ユーリ「なら……!」
機械「食べてはいけません」
ユーリ「(べちっ)」

 一匹しかいないんじゃ養殖も何もないはずですが、職務に忠実な機械さんです。ユーリ、いい加減諦めろ。


 使っていない水槽に案内され、予告通りにたくさんの水にダイブするユーリ。
 そして、

 全裸っ。
 しかし髪ガードっ。
 残念っ。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会


 贅沢な水泳を楽しむユーリと、水あらば洗濯するチト。ユーリに誘われ、チトも水に入ってみることにします。
 そして、

 肌着っ。
 逆にちょっとどうなんだっ。
 でも残念っ。

 足がつかない水槽に動揺し、あっけなく溺れる始末。謎の走馬燈がよぎったチトでしたとさ。

 


 魚に餌をやる機械さん。びちびち跳ねてそれを食べる魚さん。本当は跳ねる種ではなかったそうですが、突然変異で生まれたそうです。

 ユーリも餌やりを手伝ってみます。魚との相性の良さに、愛着(?)を感じるユーリ。

ユーリ「私はお前を旅に連れてってやりたいよ……」
チト「よだれ垂れてるし」

 ユーリさん、まだ諦めてなかった。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 


 チトとユーリに、今夜の寝床を提案する機械さん。温水が通ったパイプの近くに導きます。優しい機械ですね。

チト「思ってたんだけど、本当に生きてるみたいだよね。機械なのに」
機械「私達は人間とコミュニケーションできるように「共感」という能力が備わっているからでしょうか」
ユーリ「共感ってなに?」
機械「あなたたちが喜ぶと、私もうれしいということです」
ユーリ「なるほど」


 機械さんの共感応力に助けられ、今夜は暖かな寝床を確保できたお2人なのでした。

 

 

 

 

 ……と。

 そこに、謎の異音が。

 すかさずユーリを起こすチト。「むにゃむにゃ」言いながらも目を覚ますユーリ。2人が目にしたものは、

ユーリ「おー! デカい方の機械!」
チト「なんでここに……?」
機械「この施設の解体を始めたみたいですね」

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〈公式サイトより引用〉Ⓒつくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

 巨大機械の行動理由を聞いてみる(!?)機械さん。「ぴー。かたかた」言いながらコミュニケーションを図ります。
 あ、終わったみたいです。

ユーリ「どう? なんだって?」
機械「ここを解体すると言っています。停止を提案しましたが聞き入れてもらえませんでした」
ユーリ「役立たず!」
チト「おい!」

 え、それって魚のピンチじゃあ。
 巨大機械の解体リストにはこの周辺区画の多くが含まれており、致命的なバグが発生りている可能性がある。
 破壊をもたらす次の想像を進化と呼ぶならば、バグも進化の源なのか。


 ばちばち火花を散らしながら施設を解体していく巨大機械を見て、ユーリが決意を込めた宣言をします。

ユーリ「ねえちーちゃん、あの魚を助けようよ!」
チト「え……?」

 ユーリが、食いたい一心だった「魚」を、なんと助けたいというのです。

チト「食べるんじゃなかったの?」
ユーリ「なんでだろう、あの魚を助けたい…」
チト「共感、ってやつかもね」
ユーリ「なるほど」


 爆薬を使って、巨大機械を破壊する作戦を練る2人と一台。天井の通路に目を付け、行動を開始するユーリです。まあ、高所恐怖症のチトには無理ですね。


チト「ねえ、あのデカい機械を破壊するのってさ、やっぱり殺すってことになるのかな?」
機械「生命の定義によります」
チト「生命……。私達は生きてるし、あの魚も生きてる……」


 魚を救うため、機械を「殺す」準備を進めるユーリ。行動を進めながらも、

ユーリ(ごめんね、デカいやつ……)

 生命ではないはずの機械に対し、憐憫の情を感じる。

 爆薬を仕掛けたユーリと、起爆スイッチを押すチト。

 悲鳴にも似た機械の軋みが響き、施設の平穏は守られたのであった。

 

機械「私も魚も、これでもう少し長く生きられそうです。もちろん、いつかは死にますが」
チト「人も機械も魚も都市も生きていて、それもいつか終わりが来るんだ……」

「生命」「共感」「進化」「破壊と創造」について、意見を交わす2人と一台。お互いの達者を祈りつつ別れるのでした。

 

 なんか、いつにもまして終末感のある30分でした。哲学的要素を多分に含みつつ、サービスも忘れない秀逸な一話であったと結論付けられるでしょう。