『ゆるゆり』 第五話「あかりとかミンミンゼミとかなく頃に」


「「「アッカリ~ン!」」」
「は~い! ゆるゆり、はっじまっるよ~!!」

 

 ……。
 …………。
 …………………。

 

あかり「こ、今回は何も起こらない……。良いんですよねっ、これで!?」
結衣「あかり……、不憫な子……」

 

 


 夜の富山駅前にて、人待ち風情な杉浦綾乃。
 実は、歳納京子に呼び出されていたのです。ちょいとおめかししてますね。ドキドキですね。よっ、恋する乙女。


 そこに現れた「としのーきょーこー」は、なぜか結衣&千歳と同伴。
 え?

京子「さあ、行くぞー!」

 

 そして夜行バス。
 え?

 

 そして東京駅。
 え?

 

 そして――、戦場の有明。
 ええぇぇぇ!?

 

 

 今日は、夏のコムケ(コミックエクストリームマーケットの略)の開催日。
 結衣・千歳・綾乃は京子のサークル参加のお手伝いに呼ばれたのですが、綾乃にだけは黙っていたそうです。とんだサプライズだ。

京子「サプライズコムケ!」
綾乃「そんなサプライズ、要らないナイアガラよっ!
結衣「ブフッ、くくく……」

 今日も今日とて仲良しさんな2年生ズです。
 あ、千歳は眼鏡を外して鼻血を垂らしてます。幸せそうなのでそっとしときましょう。


 ちなみに、何故ごらく部メンバーのあかり&ちなつを誘わなかったかというと、「コムケは過酷なので、あかりとちなつちゃんが可愛そう」だからです。
本当はちなつに「ミラクるん」のコスプレをさせたかったそうですが、いや、綾乃の気持ちを考えてあげて京子さん。

 


 ともあれ入場です。

京子「このサークルチケットがないと、入場するのに何時間も待たないといけないぞー(3枚)」
 ぱしっ×3
結衣「じゃあ行こうか」
千歳「ほな歳納さん、また後でな~」

京子「……あれ?」

 


 ブースの準備完了。
 京子の書いた「ミラクるん」の同人誌、けっこう良い出来みたいです。綾乃ビックリ。好きな人の意外な一面を知ります。
 あ、リビングデッドの如き足取りで京子が来ました。何時間待ったのでしょう。
 10冊売れていたことに大喜びする京子と、それを新鮮な瞳で見つめる綾乃。と、鼻血を流す千歳。

 鼻血を垂らす千歳をトイレに連れていくついでに、「みんなで着替えに行こうよ」と提案する歳納京子です。

 

京子「愛と正義の魔女っ娘ミラクるん、華麗に登場っ!!

京子→ミラクるん
結衣→ライバるん変身前
千歳→ガンボー
綾乃→ライバるん


 に変身しましたっ。
「ライバるん」は、ミラクるんの好敵手です。まんまな名前ですね。しかし露出が多いため、綾乃恥ずかしそう。
 普通にセーラー服な結衣でさえ恥ずかしいんですからね。一般人にはキツイですよね。千歳はガンボー(着ぐるみ)なのでセーフですが。


 せっかくなので、コムケを見て回る結衣&千歳。
「あ、ガンボーとライバるんだ!」と女の子に指差されます。子どもの夢を壊さないよう、慎重に挨拶する結衣。
 コスプレって大変だ……。

 そして、百合系同人誌を発見する千歳(着ぐるみ)。試読し、鼻血を流してノックダウンする千歳(着ぐるみ)。
千歳「天国やあ……。ガクッ(着ぐるみ)」
結衣「千歳――――!!」

 

 そして、

京子「綾乃はホントに見てこなくていいの?」
綾乃「こ、こんな格好で出歩くなんて恥ずかしいのよ」
京子「そう? すっげー可愛いのになー」
綾乃「えぇっ!?」


千歳「――――はッ!!

 特別イベントを見逃してしまった気配を感じる千歳(着ぐるみ)。

 

 

 熱い夏の一日が終わり、夕日を浴びながら語る4人。
 京子の戦利品(段ボール4箱)を前に一同ゲンナリです。あ、千歳も1箱買い込んでました。

京子「という訳で、みなさんよろしくっ!」
綾乃「に……、二度と付き合うもんですかーーーーッ!!」


 ……そう、「家に帰るまでがコムケ」なんですね。

 

 


櫻子「ねえ、ここの答え教えて?」
向日葵「いや」
櫻子「妖怪ケチケチー」
向日葵「その口ねじ切りますわよ

 読書中の向日葵と、寝そべって宿題する櫻子。
 向日葵が、櫻子の夏休みの宿題を手伝っているんですね。向日葵の宿題はというと、読書感想文を残すのみだそうです。さすが秀才キャラ。

櫻子「読み終わったら内容教えて?」
向日葵「くたばれ
櫻子「もっとオブラートに包めよ……」


 スパルタな先生に嫌気がさした櫻子さん、人質を取る作戦に出ます。

 古谷家の次女・古谷楓(声・かばんちゃん。幼女)を小脇に抱え、教えてくれなければ「ほっぺたムニムニしたり、あとすっげーくすぐる」と脅しをかけるのですっ。
 呆れる向日葵ですが、意外な所から意外な提案が。

 

楓「向日葵お姉ちゃん……、櫻子お姉ちゃんを許してあげて? 櫻子お姉ちゃんはきっと疲れてるだけなの。悪いのは現代の教育が社会にもたらしたひずみだよ?

 

櫻子&向日葵(はっ……!)

 

楓「楓がガマンすれば、櫻子お姉ちゃんはそれで満足なんだよね? だからいいよ……。その代わり、強く生きてね……


 息をのむ櫻子。
 おもむろに楓を降ろす櫻子。
 床に三つ指を付く櫻子。

 

櫻子「すんませんでしたぁーーーーッ!!」

 

 幼女に土下座です。うん、お前が悪い。
 っていうか、楓ちゃんすげぇ。

 

 

 宿題に戻る櫻子。
 話題は、11月の生徒会選挙へ。「11月には私も副会長かぁ」と宣う櫻子に、「それは聞き捨てなりませんわ」と食ってかかる向日葵。いや、心配しなくても櫻子に負けることは無いと思うんですが……。

 というか、今更ながら、櫻子さんはどうして生徒会に入ったんでしょう。疑問に思う向日葵に、

櫻子「ん? ――向日葵が生徒会に入るって言ったから」

 唐突ににキュンとさせますね櫻子。


 生徒会の魅力から、人知れずみんなを助ける「あかりちゃん」を連想する櫻子さん。なんでも、絆創膏からソーイングセットから割りばしから色々常備しているらしいですよあかり。「縁の下の力持ち」ですね。
 ……あれ、主人公ってなんだっけ?

 


 噂の主人公(なハズ)、赤座あかりちゃんは、親友の吉川ちなつちゃんのお家に遊びに来ています。くしゃみしてます。

あかり「きっと誰かが、あかりの噂をいっぱいしてるのかなぁ?」
ちなつ「もうっ、そんな冗談はいいから」
あかり「あぁっ」

 当たり厳しいの厳しい親友です。ええ、親友ですとも。


 ちなつが差し出したのは、1枚の紙。そこには、

 ―結衣先輩テスト―
① 誕生日はいつですか?
② 血液型は何ですか?
③ 好きな下着の色は何ですか?
④ 好きな女性のタイプは?
⑤ 嫌いな女性のタイプは?
⑥ 好きな食べ物は何ですか?
⑦ 嫌いな食べ物は何ですか?
⑧ ツインテールは好きですか?
⑨ ピンクの髪は好きですか?
⑩ ちなつは好きですか?


 と記されています。
 ……三つ目の設問からもうおかしいですよね。あと、8~10はちなつ限定ですよね。
 これらの答えを、あかりから聞き出そうという腹づもりです。

 

 ちなつの真剣な眼差しに胸を打たれるあかり。

あかり「ちなつちゃん……、結衣ちゃんのこと、ホントに好きなんだね……」
ちなつ「…………うん。大好き……」

 えっと、両者の「好き」には致命的な齟齬があります。「ちょっと勘違い」と「ガチ」の違いは大きいと思うのですが。どうなることやら。


 案の定、ちなつの「結衣先輩って、誰が好きなのかな!?」という問いに、「京子ちゃんだと思うよ?」と素直に返答してしまうあかり。
 ちなっちゃん、どす黒いオーラを放ち始めます。

ちなつ「ズルいですよ、京子先輩。昔から結衣先輩を独占して……。この夏休みだって、結衣先輩との距離を縮めようと思ってたのに、東京なんかに連れて行っちゃうし……。なんで私はあかりちゃんなんかと一緒にいるのかな……

あかり「あ、あれ? なんか今あかり、ひどいこと言われなかった?」

ちなつ「丑三つ時……、髪の毛……、呪い……、藁……、釘ィ……!!」

あかり「おかしいな、聞こえちゃいけない言葉まで聞こえるよっ!?」

 

 どうにか「黒ちなつ」を慰めるあかり。結衣と仲良くなって、何がしたいのか問いかけます。カウンセリングの様相を呈してきましたね。
「交換日記とか?」と無邪気に問いかけるも、

 

ちなつ「えっ? それもいいけど……。き、キス……、したいな……

 

 ピシャアアアァァァァッッ!!
(あかりが雷に打たれる音)


あかり「き、キス……、しちゃうの?」
ちなつ「え? そりゃあ、そうなるでしょ?」
あかり「そうなのッ!?」


 改めて確認すると、あかりは「ちなつは結衣のことが友人として好き」と思っていますが、ちなつは「ガチで好き」という状況です。


「最近は友人同士でもキスしちゃうのか」と想像するあかり、純粋すぎます。
 そして、彼女の次の質問が、運命を決定するのです。

あかり「でも、恥ずかしくないっ?」
ちなつ「え? うーん確かに、少しは緊張しちゃうかも……」


 静寂。
 ……静寂。
 ………………静寂ッ……。

 

ちなつ「ねぇ……、あかりちゃん……」
あかり「な、なあに……?」

ちなつ「キス……、しよ?」


 ちなつちゃん、爆弾を投下します。

「だって、いきなり本番だと緊張するし。だから、練習……ッ」と言いつつ四つん這いで迫るちなつに、後ずさるあかり。
「やっぱり無理だよぉっ~」と泣きべそで逃げ出すあかりに、ちなつの魔の手が迫ります。

 

 助けを求めつつ必死に逃げるあかりですが、ついに玄関で捕まってしまいました。

 マウントポジションを取られ「捕まえたぁ……」と勝利宣言を受けますが、その時、「ピンポーン」とチャイムが鳴りますっ。

 すわ救世主かと期待するあかりですが、「どうせ訪問販売よ」と切って捨てるちなつ。目の前の目的しか見えていませんねコレは。

ちなつ「大丈夫よあかりちゃん。こんなの、ただの練習だもん……」
あかり「だ、ダメぇーー! あ、


 夏。
 入道雲。
 ミンミンゼミ。
 重なる唇と。握りしめた手のひら、弛緩する指――


結衣「あれ、開いてる(ガラガラガラ)」

 


 夏。
 入道雲。
 ミンミンゼミ。
 ちなつとあかりと京子と結衣と。


 ……。
 …………。
 ………………。
 …………………………。

ちなつ「結衣先輩、京子先輩っ!! なぜここにっ!?」
京子「東京のお土産、持って来たんだけど……」
結衣「取り込み中だったみたいだね……」
ちなつ「ちょっ! 違いますっ!!」
京子「どうぞ、ごゆっくり……(スタスタ)」
結衣「ごめんなさい。ホント、ごめんなさい……(スタスタスタスタ)」
ちなつ「だから、違うんですってばぁ! 誤解です、せんぱぁ~い!!」

 

 夏。
 入道雲。
 ミンミンゼミ。
 飛行機雲と、あかりの涙――――