『ラーメン大好き小泉さん』 第五話「トマトラーメン」「ミドリムシ」「行列」

「トマトラーメン」

 今日も今日とてラーメンを食べる小泉さん。今回は「太陽のトマト麺」なるお店に来ています。最近のお気に入りなのだとか。
 パインほどではないにせよ、ちょっと変わり種なラーメンですね。

 
 それと。
 今回は、小泉さんの独白から始まりました。これは新しい入り方ですよ。トマトラーメンの食レポを脳内再生してくれる小泉さんです。トマトスープとチーズはまぁ合うでしょうね。結構美味しそうだ。

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  〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 トマトラーメンへ、思いのたけを述べ続ける小泉さん。

トマトラーメンと言えば、以前悠さんに作って頂いたラーメン。あれもトマト味でしたね……

 おっ。
 小泉さん、悠のオモテナシを覚えてたんですね。

 

フランスではトマトを、「愛のリンゴ」と呼ぶとか……。つまりトマトは、愛のメタファー。確かにあのラーメンは、愛情がたっぷりつまっていました……

 おおっ?
 悠の自作ラーメン、思っていた以上に、彼女の心に届いていたみたいです。

 

いつも素直になれなくて、冷たい態度ばかり取ってしまうけど……。私だって、本当はもっと悠さんと仲良くなりたい……!

 うおおぉぉぉッ!?
 ついに、ついに小泉さんの心が解ける日が来たのかっ!? あの「石仮面より鉄面皮」でお馴染みの彼女がデレる日が来たのか、来たというのかッ!!

 

この熟れたトマトのような熱い想い……ッ!! いつかあなたに伝えたい……ッ!!

 

 

悠「……なにはともあれ。今日もラーメン、美味しかったっ」
小泉さん「さっきから何ブツブツ言ってるんですか。鬱陶しいです」

 悠の一人芝居かーいっ。
 まぁ声で気付いてたけどさっ。

小「まぁ。以前ごちそうになったラーメンが美味しかったのは、事実ですけれど」
(ぱああぁぁぁぁっ!!)

小「それだけです」
(ええぇぇぇぇ…………)


 トマトラーメンを食べる悠を置いて立ち去る小泉さん。本日も通常運行でした。

 

 

 


「ミドリムシ」

 生物の授業を受ける悠と小泉さん。ミドリムシについて講義を受けていますね。面白い生き物ですよね、ミドリムシ。鞭毛で動き回りつつ光合成も出来る単細胞生物とかっ。実はヒダマル、ディスカバリー大好き人間です。

 

 一方、大澤悠は授業なんぞ頭に入りません。先日、小泉さんから受けた視線と言葉を反芻しているのです。

 それはそうでしょう。愛しの相手から、「下ネタしか喋らないインコの飼い主に向ける視線」みたいな極寒の眼差しを受けたのみならず、「それだけです(意訳:テメェ自体にはカケラも興味ねぇから失せろや)」との言葉を頂戴したのですから。

 

 流石の悠でも、ちょっとは傷ついて

悠(小泉さん。もっと素直に、自分の気持ちを伝えて良いんだよ……?)

 なかったッ!?

悠(私なら、いつだって受け止めてあげるから……(キラッ))

 悠さん、強い子だ。

 

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 〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 ……こういうの、心理学では「認知の歪み」って言ってですね、治療の対象になるレベルですからね。このアニメはフィクションですからね。相手の嫌がることは止めましょうね。

 

 

 

 

 

 放課後、掃除中の悠と美沙。

美沙「ミッ、ドッ、リッムシー、ミッドッリムシー♪ フンフンフンフン4114ミッドッリッムシー♪」 

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 〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 美沙ちゃんがなんか壊れてます。何その奇怪な歌。
 夜中にやってる「ミドリムシの通販番組の楽曲」らしく、最近ハマってるのだとか。

悠「えー。でも虫でしょー? 美沙、虫苦手だったじゃん。大丈夫なの?」
美沙「美容の為なら虫のキモさなんかガン無視してやるわ!」

 

 

 


悠「別にうまくないし」
美沙「うっせーなーもーっ」

 渡り廊下から聞こえてくる、友人の会話を聞いている潤さん(中庭を掃除中。小泉さんとペア)。

潤(虫じゃなくて藻の一種なんだって、さっき授業で習ったのに……)

 友達の脳細胞レベルにちょっと引いてます。


 潤の知識によると、ミドリムシは別名「ユーグレナ」。「美しき眼」という学名を持つ、体長0.05mmの単細胞生物です。60種類もの豊富な栄養素を含み、健康食品として昨今注目を集めているそうですね。
 今朝の新聞にも載ってたなー「ユーグレナ入りサプリ」。でも、どこにも「ミドリムシ」とは書かれてなかったなー。人間って面白い生き物ですよ。


潤「あのミドリムシか……。どんな味なのか、興味あるな……」

 あ、小泉さんがこっち向きました。

潤(べ、別に流行ってるからとかじゃなくて。あくまで単細胞生物への好奇心で知りたいだけ。ほ、ほら私、将来理系への進学も視野に入れてるし……)

 


「……ミドリムシ」

 


 あ、いつの間にか背後にいた小泉さんが喋りました。

 

小泉さん「ラーメンにもあります。およそ6億個ものミドリムシがスープに入った……、緑ラーメン。先ほどの話を聞いて、久々に食べたくなりました」

 

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  〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 

「……ここです」
「へー……。黒板みたいな看板なんだね」

 小泉さんに案内され、『山手ラーメン 本郷 安庵』の店先に立つ潤。食券を買って、入店です。

「今日は奮発して「みどりまし」です」
「緑、増せるんだ……」

 ホントだよ、なんだよその日本語……
 なにはともあれ、いただきます。


 名前に違わず、すっごい緑ぃビジュアルのラーメンです。ピーマンも裸足で逃げ出すくらい緑色ですね。ミドリムシを6億個体集めると、こんな色になるのですね。

 一口すすると、「バジル風味のイタリアンみたい」との感想。なるほど、味も緑に統一していましたか。

 


潤「バジル風味で美味しかったけど、ミドリムシ自体の味は、よく分かんなかったかな」
小「そうですか。それではこれから、麺の方にミドリムシを練り込んであるお店に行きますか?」

 そんなんあるんだ……。
 もうなんでもアリだなラーメン業界……。

潤「えっ、今から? 今すぐはちょっと、お腹が……」
小「地下鉄ですぐですが、腹ごなしに歩いて行きますか」
潤「ミドリムシって、一日にそんなに大量に摂取して良いものなの……?


 結局食べた潤でした。

 

 


「行列」

 炎天下の中、「無敵屋らーめん」の行列に並ぶ悠。周囲に小泉さんの姿はなく、ソロ活動中です。
 彼女の頭の中は、こうです。


今日の小泉さんは、このお店の情報をずっと調べていた。必ずやって来る。
       ↓
でも、今週の小泉さんは日直当番。
       ↓
以前、「正直、並ぶのはあまり好きではありませんね。極力避けたいです」と言っていた。
       ↓
そこで、小泉さんの代わりに自分が並び、小泉さんが来たところで彼女に順番を譲って、颯爽とフェードアウト。我ながら、ナイスアイデア。


「これぞ、押してダメなら去ってみろ計画……!!」


 ストーカーである事には変わりないんですけどね。

 

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 〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 1時間以上待ち、ようやく店側へと渡れた悠(あまりの行列の長さに、店側と川側、道路を挟んで二つに分かれている)。
 しかし、前にいた男の仲間が3人やってきて、悠の前に割り込んできましたっ。これはマナー違反です。
 っていうか、ルール違反ですよ。こういうのは、店側がしっかりすべきです。


 割り込んできた集団に、異を唱える悠。4対1なのによくやります。えらい。
 男は「代表として、暑いのに一時間近く並んだ」と笑ってますが、それは悠をはじめとした周囲のお客さんだって同じこと。

ままま、今日は特別に見逃してよ」とか宣う男ですが、迷惑行為として自覚してやってますね。自覚のある悪意と無自覚の悪意はどっちがタチ悪いんでしょうね。
 しまいには「ていうか、あの子1人?」「一緒に食べる人いないのかな……」「なんかカワイソ」とかの言われよう。

悠「つるんで食べるものじゃないですしっ!! だいたい今、それ関係ないしっ!!」

 涙目で反論する悠。
 前者は「価値観の相違」、後者は「論理のすり替え」です。負けるな悠。あなたは間違ってない。

 

 

 と。
 そこへ。


「……何してるんですか?」


 凛と響く声。
 太陽も恥じらう金髪。
 陽炎を混ぜるローファー。

 ラーメンの化身・小泉さん降臨……!!

 


 小泉さんに、状況を説明する悠。彼女なら味方になってくれそうです。百人力です。
 しかし、そもそも店の前で騒ぐことは迷惑行為、彼女に黙って勝手に並んでたことはストーカー行為。必ずしも悠の味方という訳でもなさそうです。

 

小「少人数の割り込み行為は、悪気なくやってしまう人も多いようですが……。どの行列店でも、しばしば起こる問題です」
悠「まぁ、注意もスルーで多人数で割り込み続ける輩もいるようですが……(チラッ)」

 ギクッとなっちゃう4人組。
 女子高生にルール違反を指摘されているこの状況、彼ら的にもマズイという自覚はあったのでしょう。
 しかし、事はそんな矮小な論理に留まらないのです。


「? なに言ってるんですか。真のラーメン好きにそんな人はいません」

 


 瞳を閉じて。

 

お店の方が丹精込めて作るラーメンには、数に限りがあります

 

 静かに語り始めた、ひとりの女子高生。

 

このお店でも、営業終了後、次の日のスープを寝ずに仕込んでいる方がいるのです

 

 一杯のラーメンの裏側に、どれほどの努力があるか。一杯のラーメンを食べられることが、どれほどの幸せなのか。
 訥々と諭す、女子高生。

 

そうして作られるラーメンを、たとえ一杯でも、割り込みによって人から奪うなど。真のラーメン好きがするはずありません

 

 彼女の名前は。

 


「……絶対に」

 


 ラーメン大好き、小泉さん。

 

 

 

 

 


 自分で並んで食べることを選び、背中を見せる小泉さん。そういうことなら、悠も並びなおします。
 不愉快な4人組のことは忘れて、小泉さんとの時間を楽しむのです。

 と、その後ろに。
 忘れたばかりの4人組が、並びました。並びなおしました。

男「だってさ。こう見えて俺ら、結構ラーメン好きだし

 

 

 行列に並ぶのは、あまり好きではないと言っていた小泉さん。この店も、もう少し待てば列が緩和されるのを知っていたそうです。
 では何故、こうやって列に並んでいるのかというと。

小泉さん「それは……、衝動に駆られてしまったから……。今すぐ。なんとしても。ここのラーメンが食べたい。そうなってしまったらもう、並ぶしかないじゃないですか」

 


 待った甲斐がありました。
 太めの面に、濃厚な豚骨スープ。無料のトッピングも充実し、悠は高菜で味チェンジ。並んでいた疲れも、豚骨スープに溶けていきました。

 

 

 

 


 小泉さんのラーメン愛・ラーメン観が炸裂した回でした。
 短絡的に怒りを用いることなく、見えない現実とそれに基づいた倫理観を静かに説き、教え諭して導いた小泉さん、尊敬します。
 怒りなんて、良好な人間関係の構築を端から放棄している怠け者の言い訳ですからね。

 次回、「朝ラーメン」「冷やし」「博物館」。
 次回も観るぜ、ラーメン(醤油)食べながら。