『スロウスタート』 第五話「かむりのふわふわ」


 ふわふわな布団に包まれて、千石冠が眠っています。
 夢の中には、昔の自分。そして、髪の長い、健やかな笑顔の女の子も。

栄依子……?

 呟いて。
 瞳を開くと、ベッドの上には、2匹の猫が乗っかっていました。

……おはよ

 頭をなでて、笑顔で、ご挨拶。
 今日が、始まります。

 

 

 


 ピンクの桜吹雪から、紫陽花の紫へ。
 移ろう季節の変わり目にて、

 

「衣替えですよぉーーっ!? いぇぁーーっ!!」


 こんなに元気なのは誰でしょう。はい、たまちゃんしかいません。「今日から夏服」というだけの理由で謎テンション、朝からアイス片手です。
 あ、栄依子さんもアイス持ってます。悪友にそそのかされたのでしょう。

たまて「でも、冬服から夏服って、軽くなりすぎてちょっと不安になりますよねぇ
花名「あ、分かるっ。何か足りてないような気がしたりね~
たまて「ですですっ

 学生特有の気分ですよね。腕とかスースーしますよね夏服。
 ところで制服のメリットって、「毎朝服を選ばなくて良い」「ファッションセンスや経済力に差が出ない」以外に何があるんでしょう。


 あ、冠ちゃんの登場です。
 今回の主役っぽい彼女、教室の扉をがらりと開けて、まっすぐに栄依子の元へ。彼女の顔をじっと見つめた後、

「あのね」

 もじもじ。


「スカートはいてくるの忘れた」


 OH……
 上着で隠れてるのが、なんか逆に背徳感あります。かむちゃんは見た目『三ツ星カラーズ』の3人と変わらないので、余計に犯罪臭がします。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒ篤見惟唯子・芳文社/スロウスタート製作委員会

 

 爆弾発言に、我が事のように慌てるのは花名ちゃん。あまりにも動揺してるので、周囲は逆に落ち着けるパターンです。栄依子とたまては一糸乱れぬ平常運行ですよ。本人ですら「パンツは履いてるから無問題」的態度を崩しません。

花名「で、でもやっぱりまずいのではっ? これからとか、帰りとか……!

 友人の平静っぷりに混乱しちゃってる花名ちゃんです。
 しかし、栄依子の体操着を借りて、事件解決。あまりのあっけなさにキョトンな花名ですが、

栄依子「花名は色々考えすぎなのよ。もっと気楽に。ね?

「真剣にやる」ことと、「深刻になる」ことは、似て非なる態度ですからね。

 


 しかし、どうしてスカートを忘れたのでしょう。栄依子が問うも、なんだか言いづらそうな冠ちゃんです。

た「さては薄着の栄依子ちゃんにときめいてしまったのですねっ!? あるあるぅー!!」
栄「ないでしょ」

た「いやー、だって栄依子ちゃん、中学の時も校内で生写真とか売られてましたし
花「えぇぇっ?」
「これがその時の写真ですよ」

 どうして持ってる、たまちゃん。

た「卒業記念プライスっ。80%オフと言われて、つい」
栄「あぁ、当人の知らない所で投げ売りされて……」


 勢いで買っちゃったものの、特に必要ないたまちゃん。そこで、冠ちゃんにあげることにしました。
 受け取ったかむちゃん、瞳を煌かせつつ、

 

「ありがと、たま……」


「ニコォてー!! ぁニコォーてーッ!! 死ぬ、キュン死ぬーーッ!!」


 ハリケーンと化して萌え死んだたまちゃんでした。こんな死に方なら本望だなぁ……

 

 

 かむちゃんは写真をどうするかと言うと、

冠「お父さんとお母さんに見せたら喜ぶから。額に入れて飾ると思う

 冠ちゃん。
 千石家では、栄依子は教祖様か何かですか?


 早速に生写真をあらためる冠。しかし、かむちゃんは不安そうに栄依子に写真を渡して、「これ、栄依子……?」と尋ねました。

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 〈公式サイトより引用〉Ⓒ篤見惟唯子・芳文社/スロウスタート製作委員会

 

 写真に写っているのは、ジャージを着て、ポニーテールっぽく髪をまとめた栄依子の姿。体育の授業中ですね。今と違う所と言えば、ヘアピンがないくらいです。

 しかし、どこか納得がいかない表情の冠ちゃん。
 そんな彼女の様子に気付いている、敏感な女の子が、ひとり。

 

 

 


 アパート前の掃除をする、管理人の京塚志温さん。
 そこへ、コンビニ帰りの万年大会さんが戻ってきました。おさらいしとくと、「はんねん・ひろえ」と読みます。

志温「今日もお買い物に?」
大会「はいっ。近頃は最寄りのコンビニだけでは飽き足らずっ、このあたりのコンビニは、全て制覇しましたっ! なんと5キロ先のコンビニにも行けるようになったのですぞっ!!

志温「おめでとうございます! だけど、」


 コンビニエンス【convenience】
 便利(なもの)。好都合(なこと)。役に立ち重宝なもの。


「コンビニエンスの意味から、どんどん遠ざかってるような……」


 引きこもりだった大会さん。
 次の一歩を踏み出す時は、近い。がんば。

 

 

 


 アイスを食べつつ、先ほどの冠ちゃんの表情をさりげなく気遣う花名。何を考えこんでたのでしょう。

冠「あの写真。去年見た栄依子とちがう……

 かむちゃんが去年見かけた栄依子は、髪が長かったのだそうです。花名も、商店街の本屋さんで、栄依子によく似た人とすれ違ったことがあるのだとか。

 むむ。
 栄依子さんの謎が、浮上しました。

 

 

 

 放課後。
 栄依子は何か用事があったみたいで、先に帰ってしまいました。けれど、冠ちゃんは体操着を返さないといけません。

たまて「しかし、ここで返してしまえば、かむちゃんはパンツだけに……!」
冠「行きは平気だったし。問題ない」


 脱ぎっ。


 躊躇いなく脱いじゃう冠ちゃんでしたが、花名の尽力によってセーブされました。余計なことをグッジョブ、花名ちゃん!!

 

 

 

 栄依子が向かった商店街へ赴く3人。
 2人の栄依子の謎を究明しようという作戦ですね。たまちゃんも仲間に加わりました。

たまて「それはもしやっ! ドッペルゲンガーというヤツではないでしょうかっ!?」
花名「ドッペル、ゲルンガー……?」
たまて「ほらっ、あの東北の妖怪の!」

 東北の妖怪と言えば、「雪女」……!?
 たまちゃん、花名がドッペルゲンガーを知らないと見るや急速に茶化しにかかりました。この辺の方向転換はゲームで鍛えたのでしょうか。


冠「自分とそっくりの存在」
た「そうっ。つまりは影武者みたいなものっ」

 影武者と言えば、「戦国武将」……!?
 あ、栄依子のイメージが追加されました。


冠「もう一人の自分が現れるのは、良くない報せ」
た「我が町に覇王は二人もいらぬッ!! って感じでしょうか?」

 覇王と言えば、「闇堕ちした勇者」……!?
 花名ちゃんの想像力は、留まるところを知りません。


冠「もし栄依子本人と、ドッペルゲンガーが出会ったら」
花「で、出会ったら……?」
「どちらかが死ぬ」
「死ぬーーッ!?」

 栄依子(無印)が栄依子(雪女とか武将とか覇王)に襲われるシーンを想像する花名ちゃん。
 このアニメ面白そうだ。


冠「それが……、里の掟っ
「里のっ!?」

 忍者まで参戦したッ!?


花名え、栄依子ちゃんが妖怪影武者覇王里の掟に殺されるー!


 あの、そろそろからかうの止めたげて。
 純粋な想像力を弄ばないでっ。

 

 


 あ、栄依子を発見しました。
 花名がドッペルゲンガーを見た本屋さんへ入って行きます。このままでは、栄依子が妖怪と(以下略)に襲われてしまいますっ。


 急いで本屋へ入る3人。
 すると、いました。
 髪の長い、栄依子そっくりの人物が……っ!

 冠ちゃんが接近し、直接尋ねます。

冠「栄依子……?」

 

 ま。
 あれですね、栄依子について第二話で出てきた設定「妹汁」を覚えている視聴者からすれば、ネタは上がっていますよね。

 彼女はズバリ、「栄依子の妹」です。

 きっと「姉のことですか? よく似てるって言われるんですよ」とか言って爽やかな笑顔を向け、そこに栄依子がやってきて「みんな、こんなところで何やってるの?」的な流れの後に


???「はい。栄依子です」


 ドッペルゲンガー来たーーーーーーッ!?

 


 まさかの返答に硬直する花名とたまて。その背後から、「どうしたの、みんな揃って」と言いつつの栄依子さん登場。ここまでは読んでたのに……っ。

 前門の栄依子、後門の栄依子。
 怪奇現象初体験の2人は、

花名「はなれーーっ!」
たまて「たまえーーっ!」

 そういえばそんな設定のあったコンビ名を叫びつつ、巫女さん姿でお清めです。錯乱してますね。目覚めたまえ。


栄依子「? よく分からないけど、紹介するわね。この子は、」
???「妹の光希(みき)です

 あ、やっぱり妹さん。

 

 

 


 妹さんの存在をすっかり失念していた面々。

「結構前だからねー。ミッキのこと話したの」
「いえ。光希です」
「ほう、ミッキさんとなっ」
「いえ。光希です」

 妹さん、なんか機械的ですね。


冠「なんでさっきは、「栄依子」って……?」
光希「はい。それはですね。…………場の空気的に、そう名乗った方が正解かと思いまして
栄依子「うん。それ多分間違ってる」
光希「なるほど。勉強になります」

 妹さん、独特の空気を纏ってますね。

 

 栄依子は小学生の頃、髪が長かったのです。それを覚えていた冠ちゃんは、1年前に見かけた光希の事を、栄依子だと勘違いしたのですね。
 だから、写真を見て変な顔してたんです。

 ちなみに、その時の光希は電話で「星王女子高校」の事を話していたので、栄依子のいる学校だと睨んだ冠ちゃんはこの高校を目指したのです。


 入学して。
 無事に栄依子を見つけて、また友達になれた冠ちゃん。栄依子は「かむの方は小学校の時から全然変わってなくて、びっくりしたわ」との感想です。当然、ぷっくり膨れるかむちゃん。かわいい。

冠「前にもそれ言ってたけど。そんなに?」
栄依子「うん」


「焦がれるあまりに、幻が現れたのかと思った……」


 スロットル全開で冠ちゃんを落としにかかる栄依子です。「また逢えて、嬉しかった」と伝えて、栄依子に抱きつく冠ちゃん。ちなみに、今朝の冠ちゃんがスカートを忘れたのは、「栄依子のことを考えてたから」です。いちゃいちゃです。

 他3人の視線を無視して、2人だけの世界に没入する、冠と栄依子でした。

 

 

 

 


 冠ちゃんのパンチラ回OPにも出てる新キャラが登場した回でしたが、いやぁ、かむちゃんと栄依子の過去が明らかになる日はいつのことやら。この分だと物語後半っぽいですね。

 ……いやね、実は前回のラストでも、大会さんのがちょこっと見えてたんですよ。でも、なんとなく爽やかで感動的な雰囲気を壊しちゃいけないかなーと空気を読んで言及しなかったんですよね。志温さんの一言への「レレレのおじさんかッ!」というツッコミも同時に自重したのですが、そうですね今回のコレでパーですね。ケセラセラ。