『ラーメン大好き小泉さん』 第七話「全国」


「久留米、九州……。ずいぶん遠くに来ちゃったね……」

 夜。
 愛しの小泉さんと並んで、ラーメンを食べる大澤悠。

悠「まさか夏休みに、こうして小泉さんと旅行できるなんて……
小泉さん「あなたが勝手についてきただけです」

 そう、今日は二人っきりで旅行中。
 東京、千葉、北上して青森、日本海側をぐるりと回って、現在は九州・久留米の地でラーメンを食しているのです。


 日本全国、ラーメン行脚。

 彼女たちの旅は、まだまだ続きそうです。

 

 

 

 

 明日から、夏休み。

 先生は「目標を持って、有意義な夏休みを」とか言ってましたが、

悠「終わったぁ~~! 開放感~!!」
美沙「遂に夏休みキタ~~ッ!!」


「「どこ遊びに行こっか~~!?」」


 親友と楽しく過ごす一夏の、どこが無意義なものでしょう。

 

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  〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 ザ・眼鏡委員長な潤さんはというと、塾があるので旅行とかはあまり付き合えないそうです。

美沙「友情と進学、どっちが大事なのっ!?」


「進学」


美「おぉ~」
悠「ですよね~」

 言い切りましたね~。

 

 

 さて、問題は小泉さんです。
 悠としては、なんとしても一緒に遊びたい相手ですからね。早速に旅行に誘いますが、「遠慮します」「お断りします」の一点張り。

 実は小泉さん、既に明日は旅行に行く予定が入っているのです。
 どこへ旅立つかというと、


「日本全国です」


 こっちはこっちで、言い切った……

 

 

 

 

 

 駅前で落ち合い、遊びに向かう悠、美沙、潤の三人。

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 〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 向かうは「風やしき」です。うんと、まぁ「花やしき」ですね。浅草の遊園地。園内の様子が流れますが、本当にこんなカオスな場所なんでしょうか。

 美沙さんはフリーフォールにロボットパンダにと満喫しています。服も気合入ってますね。フリッフリですね。ピンク。リボン。
 昨日は「ランドかシーがいいっ!」と言ってぶうたれてたそうですが、一番楽しんでます。

 

 風やしきを出た一行は、浅草の街を歩きます。途中の貸し浴衣屋さんで和装へ変身し、すっかり風景の一部ですね。馴染んでますねー。
 浅草って海外からの観光客にも人気の場所なので、こういう「みんなで雰囲気を作って盛り上げる」みたいなん良いと思います。前回の「新横浜ラーメン博物館」も同じですね。

 と、そんな人ごみの中に。

悠「あれ。今、そこに小泉さんが……」

 ついに幻覚症状が表れたか……
 小泉さんは今日、全国へ向けて旅立っているはずですよ? こんな近くにいるはずありません。 

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  〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 


 かき氷を食べつつ、将来の進路について話す女子高生ズ。
 もちろん、潤が相談を持ちかけたのです。他ふたりじゃこんな話題になりませんので。
 瞑目し、真面目に考える悠と美沙ですが、

「まだ真面目に考えたことないやっ」

 あ、真面目には考えてなかった。


美沙「進学するかどうかも決めてないし」
悠「えっ? 美沙、進学しないの?」
「だって、アイドルとかモデルになったら、学校行ってる場合じゃないでしょ?」

 あ、潤さん相談する相手間違えた。

 


 ちなみに悠の希望する職業は「ラーメンに携わる何か」だそうです。
 そして、「ラーメン大好き小泉さん」の魅力を世に広めて回るのだそうです。がんば。漫画家に原作提供したら人気が出てアニメ化するかもしれませんね。

 

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  〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 

 お昼は、もちろんラーメン。

 悠が小泉さんの話をしたので、もうラーメン以外の選択肢が浮かびません。誰か、小泉さんがラーメン業界に与える経済効果を試算してください。

 浅草のラーメン屋「与ろい屋」にて、中華そば風のラーメンを頂きました。

 

 

 

 潤、美沙と別れ、改めて浅草の街を眺める悠さん。

悠「また遊びに来たいなー……。できれば今度は、小泉さんと一緒に」

 愛しの小泉さんとふたりきりの、ロマンチックな浅草観光を妄想する悠。あちゃ~、これは幻を愛しちゃってますね。オリビアを聴く破目になりますね。


悠「よしっ。夏休み中に小泉さんを誘ってまた来ようっ!」


小泉さん「お断りします」


 出たッ!?

 全国旅行中の小泉さんが何故ここにっ!?

 っていうか私服だっ! かわいいっ!!

 

 

 小泉さんとの突然のエンカウントに驚く悠ですが、このチャンスを逃す彼女ではありません。昼に食べたラーメン「与ろい屋」をお勧めして興味を引こうと画策しますが、小泉さんはもちろん知っていました。

悠「浅草でラーメンなんて、珍しいよね~!」
「……珍しい?」

 なんとか会話を繋げたい悠の発した一言に。
 呆れたように、瞳を閉じて。


「何を言っているのですか? ここ浅草は」

 

「すべての、始まりの地……。なのです」

 

 ラーメンの歴史を、語ります。

 

 

 


 諸説、色々ありますが。

 明治時代、今から100年以上前、浅草で創業した庶民的な中国料理店「来々軒」が提供した醤油味のラーメン。それが、チャーシュー・メンマの乗った、日本のラーメンの原型だとされています。

悠「100年以上前……


 悠が紹介したラーメン屋の店主も、浅草生まれの浅草育ち。ラーメン発祥の地、浅草に想いを馳せて、昔ながらの懐かしい味を作り続けているのです。

悠「だから懐かしい味がしたんだね……。それにしても、私服の小泉さん初めて見たよ……


 ラーメン大好き小泉さん大好き大澤さんは、ラーメンより小泉さんが気になるみたい。

 


 語り終えると、早々に立ち去ろうとする小泉さんです。キャリーバッグをころころ。彼女の言う「旅行」の最中だそうですが、もちろん悠も付いて行きますよ。


 到着したのは、「自家製麺 伊藤」

小「九十九里産の高級煮干し。それを一杯当たり、約40グラムとふんだんに使用して、うま味を凝縮したスープが特徴です」
悠「ん~。美味……」


 次に訪れたのは、「青森 煮干中華そば」

小「そばから発祥した青森のラーメンは、油を一切使わないのが特徴です」
悠「確かに、スッキリした味だね。その分、煮干しの風味を感じるよ~」


 次に向かったのは、「与ろい屋」
 悠が昼に食べたラーメン屋さんですが、「小泉さんと食べるラーメンは別腹」だそうなので無問題。
 しかして、

悠「なにこれスープが黒いっ……?」

 さっき来た時は、こんなメニューはありませんでした。夜の限定メニューだそうです(小泉さん情報)。

小「北陸富山のご当地ラーメン、富山ブラック。それをこの店独自にアレンジしたものです」
悠「ん~っ、濃い味! 胡椒と柚子のアクセントがイイっ!」

 

 

 それにしても、先ほどが青森で、今度は富山ですか。
 まるで日本を旅行しているような気分で……、ハッ!?


 日本全国のラーメンのハシゴ、これこそが小泉さんの言う「旅行」なのか……ッ!!

 

悠「そっかぁ、私小泉さんと一緒に旅行してるんだ……」

 してるんです。
 いやぁスゴイ幸せそうですね悠さん。

 小泉さんはまだ旅の途中だそうですが、ここまで来たら最後まで付き合う所存の大澤悠さんです。

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  〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 

 そして、冒頭へ戻って。
 久留米の豚骨ラーメンです。ストレートな細麺が特徴だそうですが、うん、福岡の麺って細くて固いんですよ。うどんは激やわなんですけどね。

 固さのレベルとしては「固め」→「バリカタ」→「ハリガネ」→「コナオトシ」と続きます。「コナオトシ」は固麺界の横綱だとお考え下さい。

 


 更に、佐賀の有名店の味を継承する「佐賀ラーメン」

小「濃厚な豚骨スープと、ふっくら柔らかい麺が特徴です」
悠「ほんとだ。麺が少し太いっ」

 

 そしてラストは、「弁慶 浅草本店」
 お腹パンパンな悠ですが、引き返すという選択肢はありません。勇者です。

悠「醤油豚骨?」
小「下町に愛された江戸っ子ラーメン。ここ浅草を中心に広がって行った味です」

 

 浅草で広まったラーメンが。

 九州で、豚骨になり。

 こうしてまた、東京に帰って来たのです。

 

 一杯の向こう側に垣間見える、全国を巡るラーメンの旅路。
 歴史に想いを馳せながら、醤油豚骨ラーメンを啜る、小泉さんと悠なのでした。

 

 

 

 

「あぁ、夏休み分のラーメン食べた……っ!」

 すっかり日も暮れて、旅行も終わりを迎えます。
 黒く揺らめく川と、対岸の夜景を眺めつつ、小泉さんと初めて食べたラーメンを思い出す悠。小泉さんは憶えてないそうですが。

 けれど、ラーメンを通じてなら、こうして彼女と旅行に行けることが分かりました。それだけでも大収穫です。

 

 別れ際、花火大会のポスターを発見する悠。

 小泉さんと一緒に見る花火は、さぞかし美しいことでしょう。花火が打ち上がる心象風景が挿入され、まさかホントにまた花火の描写しなきゃならんのかと怯えたヒダマルでした。『だがしかし2』の第四話で出し切りましたので。

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 〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 


 旅行から帰ると、

修「なんで食事当番サボった……?」
悠「ぜ、全国を旅してて……」
「ほぉ~~~~うッ!?」

 晩御飯を抜かれ、胃袋ぐるぐるな修兄ちゃんに説教を喰らう悠さんでしたとさ。

 

 

 

 

 

 ラーメンを通して、共に全国を巡った二人でした。

 悠さんはやっぱり実際に沖縄旅行とか行って、小泉さんの水着を見たいそうですが……、そんなサービス回があるかどうかは未定です。けどヒダマルも見たい。「サイミン」の時にチャンスがありましたが、悠に邪魔されましたし。

 あと、富山ブラックは、「キャナルシティ博多」のラーメン街で食べたことあります。濃いと言うか渋いと言うか……まぁかなり独特な味わいです。


 次回は「ご当地袋麺」「家系」。
 ご当地袋麺なら近所のスーパーとかでも探せそうですね。また悠の技が光るのでしょうか。

 次回も観るぜ、ラーメン(火の国豚骨)食べながら。