『宇宙戦艦ティラミス』 第四話「STAND IN THE UNIVERSE/I’M NOT ALONE」


 今日も今日とてぼっちなエースパイロット、スバル・イチノセのもとに専用機のデュランダルが戻ってきました。
 リージュさんのプリマヴェーラ・δが修復されたんでしょうね。

 スバルくん、帰って来た聖域に引きこもって「スウェーデンの森」を読みながらの寿司×ポテチ×ペプシです。極楽です。


 お前は干物妹!うまるちゃんか。

 

 

STAND IN THE UNIVERSE

 補給艦・足柄との連結完了……

 これより、パイロットから順に、二十分ずつの往来を許可する……


 館内放送を聞きつけ、「来たか……!」と笑うスバルです。

(オレはコックピットも好きだが……、補給艦も大好きだっ!

 

 

 地球連邦制空圏内に点在する補給艦。
 宇宙戦艦ティラミスをはじめとする連邦艦隊は、この補給艦から物資の補給を受けています。

 

 早速に補給艦へお出かけしたスバル青年は、(特に給料日後の補給艦は格別だっ!)と庶民的なことを考えながらお買い物。
 ハー〇ンダッツを手に取って、

「あ、新作出てる……」

 どこまでも庶民的です。
 ちなみに、補給艦内部はまんまコンビニです。孤独な宇宙でコンビニの安心感を与えられるなんて、確かに天国でしょうね。

 

 


(ここでは、自由以外の全てが手に入る……!)

 楽し気に歩くスバルですが、買いすぎです。何袋下げてるの。

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉
 というかね、ファッションセンス。

 名前付きヘルメットにパジャマて。

 

 

 

 


 無数の星々が煌めく戦場で、人型戦闘機デュランダルが戦っていました。

『どうしたスバルっ! いつもより雑だぞ!』

 もはやお目付け役と化しているコーディさんの声を聞き流しながら、戦っていました。
 というのも、


 猛烈な尿意をガマンながら戦っていました。


 出撃前にはしゃいでアイスやら宇宙スムージーやらコーヒーやら飲むから……。給料日だからって浮かれるから……。

 

 

「落ちろ落ちろ落ちろ落ちろおぉぉーーッ!! 自分以外の全ての人間が羨ましいッ!!」

 鬼気迫る表情でビームサーベルをぶん回すエースパイロット。

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉


『おいスバルっ! 人の話はちゃんとき
「ちょっと黙ってて下さいッ!!」

 コーディさん、今日も強制退場させられました。

 

 

(過去を振り返るなスバル・イチノセ……! 策を練るんだッ!!)

 現状打破のため、状況を再確認するスバル。
 まず、この空域はティラミスと補給艦の中間地点であり、

(進んでも引き返してもゲームオーバー……!)

 まずいっすね。
 もうほぼほぼ詰んでますね。

 

 


 しかし。

 人類を救うエースパイロット、スバルは、僅かな光を見出しました。
 それは、コックピット内に漂っていた、


(ペットボトル……ッ!!)


(これに入り切るか……!?)


(いや、違うッ!!)


(正解は……、こっちだッ!!


 ビニール袋ォ!!

 救世主登場ォ!!


「こいつを二枚重ね……、割と大きな穴ッ!?


 はいアウトォ!!

 

「どうせお前だろ、高いアイスの箱ッ!!」


 はい八つ当たりィ!!

 

 


 しかしっ、スバルは諦めません。

 戦闘の隙を打って、操縦桿を「からあげ〇ン」の包みで固定。
 そのまま機体背部の脱出口から身を乗り出し、おそらく人類初の宇宙立ちションを決行しようとしますが、

(味方機……ッ!? 見られたらそれはそれで終わりだッ!!)

 断念。

 

 


 万策尽きて、もはや粗相するしか道はないかと思われる場面でも、

(諦めるのか…………?)


(違うだろッ、スバル・イチノセッ!!)


 我らがスバルは、諦めませんでした。

 

 

 デュランダルの装甲を全て取り払い、身軽になった機体で、なりふり構わず補給艦へ急行します。その姿、まるで流星の如く。

「捉えたッ!」

「よし、間に合っ、」


 行列。


 機体が行列を成しています。

 

(終わった……。完全に……)

 スバルはこの後、補給艦で替えの下着を買った……。

 

 

 

I’M NOT ALONE

『スバル。お前はリージュ、ヴォルガー部隊の援護に向かってくれ。まもなく、艦隊と接触するはずだ。……聞いてるのかスバル
「聞いてますよ、コーディさん」

 座席を拭き上げ、爪楊枝でパネルの隙間の汚れを取るぼっちエースパイロット、スバル・イチノセです。

 


 これまで以上に深まる、彼のコックピットへの執着。
 やや歪み始めたコックピット愛は、どんな小さなことも見逃しませんでした。

「なんでこんな所に陰毛が……?」

 操縦桿に、縮れ毛が挟まってます。
 うんまぁ、よくあるよねこういうの。

 

 

 さして気にも留めず、捨てようと手を伸ばした瞬間。


『ちょっ、待てってぇ。お前野球どこファン?』


(陰毛が人の言葉をッッッッ!!??)


 衝撃の展開。
 誰が予想できたでしょう。

 


(これは幻聴……。コックピットが好きすぎておかしく……? まさかっ!!)

(これが……、ユニバース感覚……?

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉


 ユニバース感覚。

 それは、宇宙移住者に稀に備わるという特別な感覚。
 コックピット内での異常な集中力、冴え渡る五感などを備えたスバルには、その素養があったのです……。

 

 

 SFっぽい新設定で辻褄を合わせにきたナレーションは置いといて、陰毛が喋っていることには変わりありません。

『なぁて。おま野球、どこファン? やっぱり人気の、ジャイアンツ?』
「いえ、中日ですけど……」
『へえぇ~っ、俺と同じやん。ぁ、井上知ってる? ピンクから水色にリスバン変えたけど、俺ん中では今でもピンキーやぁ』
(ダメだ、気になる……)

 癖のある喋りで語り続ける陰毛。

 


 ちなみに、陰毛の声は中田譲治さんの独特なダンディヴォイスです。あ、そういえばナレーションは大塚明夫さんです。

 ダンディの競演ですね。豪華だ。

 

 えっ、中田譲治さんの渋いお声を脳内再生できないですって?

 世話の焼ける一般人だなぁ、じゃあ、『ケロロ軍曹』のギロロ伍長を思い出してください。赤いヤツね。『らき☆すた』にもサプライズで出てたっけなぁ。

 あるいは、ジョジョ第六部のプッチ神父。
 それか、『魔法つかいプリキュア!』のガメッツ。
『操操れ!コックリさん』の信楽とか、最近ではポプテピの最終回でピピ美やってましたね。

 ふぅ、これだけ挙げればもう大丈夫でしょう。

 

 


 閑話休題。

『お前さぁ、出身名古屋?』
「いえ、豊田の近くで……」
『あぁ~、そっちか……』
(やっぱり捨てよう。ここはオレだけの聖域だ……)

 怪奇! 喋る陰毛! と敬語で話し続けるスバル青年は、彼をつまんで捨てようとします。
 賢明な判断です。

 


 しかし、『待てってぇ』と陰毛。

『もしかして俺のこと、自分の毛やと決めつけとらん……?』
「えっ、違うのっ?」
『あくまでも可能性の話なんやけど、女の毛かもしれんやん……?
「えっ、まじ……!?」

 めっちゃ夢のある話に心奪われるスバルです。
 眼ぇキラキラです。

 


 そして、このアニメの女性キャラといえば……、

『お前んとこに、やたらムチムチしたええ感じの女パイロットおるやろ……?』
「り、リージュ中尉のことぉっ?」
『名前までは知らんけど、その子のかもしれんやんけっ』
「えっへえぇ~? ないないっ! ゼッタイないよぉ~っ!」
『一回乗っとるし、ないとは言えんやろ?』

 頬を赤らめながら「ないない」するスバルです。超期待してます。

 

 

 ……えっ?

 このコックピットに出入りした女性キャラは他にもう一人いるって?


 何てこと想像させるんだ貴様ァ。

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉

 

 

 

 

 ……気がつけばスバルは、十年来の友と話しているかのように、不安や悩みを打ち明けていました……。

「ストレートパーマって手もあるけど……」
『ないないぃ。そらないわ。……ッ!?

 陰毛さん、何かを感じ取りました。


『スバル。七時の方向に熱源。ちょっと遠いけどいけるやろ?』
「敵か……」

 陰毛に促され、SF新設定・ユニバース感覚を集中させるスバル。
 すると確かに、遠く離れた宇宙空間に、敵の母艦が漂っていました。

 

「人がせっかくッ、友達との会話を楽しんでるのにぃーーッ!!」

 ビームライフルの一閃が煌めき、敵機を一撃のもとに粉砕。大戦果です。

 

 

『ひゅう。やるやん。流石、俺が生えとった男だけのことはあるやん?』
「なんだ、やっぱりオレの陰毛じゃないか」
『でも、ドキドキしたやろ……?』

 人の言葉を話す陰毛と、温かい友情をはぐくんだスバルなのでした……。

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉

 

 

 
 一時的にあったユニバース感覚も冷め、一切口を効かなくなった、陰毛。スバルは今もお守りとして、肌身離さず持ち歩いています。

 長きにわたるぼっち生活の中、初めて心を通わせた相手。


 いつかまた、会えることを信じて……

 

 

 

あとがき。

「のっぴきならない場面で不意の尿意に襲われる」というあるあるを、コックピット内でくり広げて見せたスバルくんでした。あるあるネタは鉄板ですよね。


 そして、「喋る陰毛」という衝撃的新キャラが出ましたね。

 とりあえず、「あの陰毛が誰のものだったのか」という点において、最悪の事態は免れたと言えるでしょう。あぁ良かった。

 何が最悪の事態かってホラ岐阜出身の、だから想像させるな貴様ァ。


 大事な読者様と言えど容赦せんぞォ。