『SAO オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』 第五・五話「ルフラン」


「なあ、ピト。なんでわざわざGGOにログインしたんだ」

「雰囲気が出るでしょうっ? さぁ、〈スクワッド・ジャム〉を遊べなかった可哀想な私に、何が起きたか説明しなさいっ!」

「結果は知っているはずだが……」

「経過が知りたいのっ! 中継映像のレンちゃんの戦闘シーンを全部見せなさいっ!」

「分かった……。一括でダウンロードするから、歌でも聴きながら待っていてくれ。何かリクエストは?」

「そうねぇ……。熱いバトルを感じさせる、血沸き肉躍る歌がいいわねっ!」

 


 ~OP~

 藍井エイル『流星』
      SE付きVer

 

 


「俺たち、チーム〈LM〉のスタート地点は、巨木が生い茂る森林地帯だった」

「あらあらぁ。これはまたとっても不利な場所で」

「だから、地図のチェック後、すぐに移動を開始した。いち早く森を抜けて、潜伏しやすいと思われた都市部を目指したのだが……。十四時十分、最初のサテライト・スキャンの結果、チーム全員がマシンガン装備という、火力馬鹿の連中に補足されてしまった」

 

 

~森の中、マシンガンによる速射連射掃射高射乱射を受けるレンを見ながら~


「あっはは! ここのレンちゃんかわいいー、キュートぉ! ははは、見てあの顔ぉ!」

「酷いな、お前……」

「あんただって! チームメイトがあんなに撃たれてんのに助けに行かなかったんでしょ?」

「ああ。だがそれは、必要が無かったからだ」

 

 

~マシンガン連中が、背後の敵から狙撃される様を見ながら~


「あら、狙撃? 確実にヘッドショットとは、なかなか良い腕ねぇ」

「都市部で網を張っていたチームだ。強い連中だ。これはレンにも言ったが、訓練目的で出てきた、警察か海保の特殊部隊、あるいは自衛隊だろうからな」

「遊びにプロの参加、イイわねぇゾクゾクするわぁっ!」

「レンは憤っていたがな」

「そんなのとやり合いたいわぁ……!」

「レンは嫌がっていたがな」

 

 

~マシンガンチームが掃討される様子を見ながら~


「おっと来た来たぁ。おーい、後ろだ、後ろにいるぞぉ!」

「マシンガン連中、火力は凄いが、チームとしての動きは全然ダメだな。もっと上手く立ち回れれば、かなり手強いチームになるだろうな」

「あっはっは、ぜんめーつ! たのしー! あぁ、参加したかったわぁ!」

「プロチームのおかげで、結果的には助かった。俺たちは他のチームが寄ってくるだろう、都市部を諦めて、居住区に逃げることにした」

「このチキンが!」

「生き残り、優勝するためだ。誉め言葉として受け取っておこう」

「はっ!」

 

 

~三回目のサテライトスキャンを見ながら~


「開始三十分後、三回目のスキャンだ。既に大分、生き残りチーム数が減っていた。俺たちは二人だけで、プロチームを相手にすることになった」

「普通に考えると、まぁ無理よねぇ。また逃げたの?」

「いや。あいつ等を倒さずに優勝はないと、立ち向かった。作戦がうまくいった」

「ほほう。どうやった?」

「それは……、いや、この先を見ていれば分かる。楽しんでくれ」

「もったいぶりやがって。面白くなかったらアンタのケツを撃つよ?」

 

 

~四度目のスキャンと共に、交差点に接近するプロチームを見ながら~


「こいつらかぁ。全員悪そうな面構えねぇ」

「お前だけには言われたくないと思うが……」

「え、褒めたのに?」

「褒めたのか……」

 

「ん~? んん~? 近くにいたの?」

「リーダーマークを持つレンだけが、あの交差点に隠れていた」

「ほぉ~……」

「これは相当危険な作戦だった。あっさりと受諾して実行してくれたレンは、かなり度胸が据わっている。大したものだ」

「どこかのデカいだけのチキンとは大違い!」

「見える距離なのに見つからなくて、プロチームはさぞかし慌てたはずだ。システムエラーすら疑ったかもしれないな。さぁ、レンがもうすぐ出てくるぞ」

「えっ? どこからぁっ!?」

 

 

~スーツケースの中からレンが飛び出し、戦闘する様子を見ながら~


「あはっ、なにあれスーツケースっ!? あは、あはははっ! ちっこーいっ! 流石ぁ!」

「どうやらケツを撃たれなくて済んだようだな……」

「あははっ! レンちゃんすごーいっ! これ、これよぉ、私が見たかったレンちゃんはぁ!」

 

「そうだやっちまえぇ! 撃てぇ、皆殺しぃ!」

「敏捷性に特化したレンの素早さは、ゲームならではだ。人間を相手に戦闘訓練をしてきた連中には、対応が難しかっただろう」

「オーイエス! これぞレンちゃんよぉっ! 砂漠でエグい暗殺PKやっていた頃を思い出したに違いないわぁ!」

「それはどうか分からないが……。四人を瞬殺とは、流石だ。咄嗟の度胸と身のこなしは申し分ない。ピトが見込んだだけのことはある」

「でっしょぉ? 私は最初に走ってるの見ただけで分かったわよ? “この子はフルダイブゲームの申し子だ”って」

「プロチームの残りの二名は、俺が狙撃ポジションに着く前に降参してSJから去った。訓練は十分と思ったかな……。こうして完全勝利とは言えないが、まあ、負けなかった」

「なぁるほどぉ。いいわ、ここまではレンちゃん共々あんたの采配を褒めてあげる」

 

 


「あー、笑い過ぎて喉乾いた。なんか飲み物」

「分かった。一旦、映像を止めるぞ」

 

 


 ~CM~

 

 


「こうして、生き残りは三チームとなった。次の対戦相手は、〈MMTM〉という連中だ。フィールド北西部の敵をほとんど倒していた、強い奴等だ」

「街の噂で聞いたわよ? あんたがあの盾を使って、ラインを見せないプレイヤースキルの狙撃で倒したんでしょ? こんなとこで奥の手を見せちゃってさぁ」

「使うべき状況と判断した」

「ま、あんたの活躍はどうでもいいから手短に頼むわ」

「あ、ああ、分かった……」

 

 

~〈MMTM〉のリーダーを仕留めたレンを見て~


「うおっしゃぁ、レンちゃん、よくやった!」

「一時間は、生き残った……」

「なぁに? 頭なでなでしてほしいの?」

「……いいや。こうして残りは一チーム。しかし、油断した」

 

 

~ゲーム開始から一時間、狙撃を受け倒れたレンを見て~


「やだ! 私のレンちゃんが!」

「お前のではない。自動式狙撃中からの600メートル狙撃。よくも初弾で当てたものだ。これは敵が見事だったな」

「いやあんたが油断していたからでしょ?」

「…………」

「おぉー、ホバークラフトで逃げたんだぁ。これで相手は敵が二人しかいないことを知っちゃったわねぇ? 一度近くの家の中に隠れれば良かったのにねぇ?」

「……その通りだ。俺のミスだ」

「まあいいわ。最後の敵ってどんな野郎たち?」

「野郎ではない。全員が女、アマゾネスだ。チーム〈SHINC〉、強敵だった」

 


「ヒットポイント回復後、敵チームを攪乱するため、レンを単独で突入させた。好き放題暴れてもらうことにした」

「ふーん? あんたにしては珍しい乱暴な作戦ね? あ、分かった。私からの手紙を読んで、万が一にも自分が死にたくなかったからかぁ」

「最良を求めた策だ。結果的には上手くいった。ここからのレンのバトルは凄いぞ」

「いやぁ、楽しみぃっ! どうせならそれに見合うカッコイイ音楽を乗せてくれる? 好きなの選んでいいわよ」

「分かった。では、神崎エルザの新曲でいこう」

「っ!? なんでエルザなのよ?」

「レンがライブに行きたいほど大好きだと言っていたからな。それに」

「それに?」

「俺もずっとファンなんだ」

「知らなかったわー。あんなお上品にすました女のどこがイイの?」

「後ろ姿の美しさ、かな」

「うわー。今度会ったら言っとくわ……。「ウチの若いのがあなたのお尻を舐めたいと思っていまーす」って」

「頼む」

「へっ!」

「では楽しめ。SJの、そしてレンの最終バトルだ」

 

 

~神崎エルザの新曲『Independence』をBGMに、レン対〈SHINC〉の鬼気迫るラストバトルを見て~


「いよっしゃぁっ! おめでとうレンちゃん! よくやった、よくやったぁ!」

「以上が、SJでの俺たちの戦いの全てだ。満足、したか」

「あああ、レンちゃん最高っ! もう殺したいくらい最高……!」

「楽しんでもらえて何よりだ」

「でも、なんで私はこんな素敵な殺し合いに参加できなったの? ねぇ、なんで? どーして?」

「それは仕方がない」

「くやしいっ! こうなったら次だ! そうよぉ、SJの二回目があればいいんだ! 違う?」

「まあ、そうだが……。そんなに簡単に例の作家が次を開催するとは思えないがな……。お金もかかるだろうし」

「なら、次は私が主催してやる! それなら文句はないわよねぇ?」

「やれやれ……」

「もちろんあんたも参加ね? 命令だから」

 

 

 

「それでねぇ。その中で、派手に派手に、戦って戦って戦って戦って――」


「どうする、つもりだ?」


「決まってるじゃない!」

 

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「死ぬのよ」

 

 

 

まとめ。

 原作者・時雨沢恵一さんによる脚本の第五・五話「ルフラン」でした。

 まるごと文字に起こしてみましたが(読み辛くてすみません)、この会話は間違いなく時雨沢さんの書下ろしですね。
 ピトさんとエムさんの関係性がよく表れていましたが、この書き起こしで原作の雰囲気をどこまで再現できたかは微妙。

 

 

 そして……、


 今回も実現しました、「あとがきのアニメ化」!!


SJのスポンサーだった作家が、映像に勝手に音を入れて楽しんでいた」という設定で、

「まらそん」
「せつめい」
「マシンガンラバーズ・オンライン」
「おと、じゅうよう」

 の四作が、アニメオリジナルあとがきとなっていました。
 時雨沢さん、去年に引き続き夢が叶って良かったですね……!!

 

 

 ちなみに、

 

「例のSJスポンサーの作家だが……」

「この前聞いたわよぉ? 戦闘映像を勝手に使って、変なの作ってたんでしょ?」

「いや、その先だ。それが運営にばれて、「勝手なことをやるな」とこっぴどく叱られたんだそうだ」

「あらまぁ」

「〈SJ2〉の開催申請……。まだ返事はないが、こっちが有利かもな」

 

 

 第二回、スクワッド・ジャム。

 次回、開催決定です。


 そして、「あのキャラ」のリアルも登場……!?