ヒダマルのアニメ日記。

アニオタ・元保育士・隠れアスペルガーと、三拍子揃ったヒダマルがお送りするアニメ感想ブログ。アニメ関連の雑記や分析なんかもチラホラ。毎日午後8時に更新予定です。

『ラーメン大好き小泉さん』 第九話「山」「豚野郎」「背脂」


 なぜ山に登るのか?

「そこに山があるからだ。」
                ジョージ・マロリー


 1920年代、3度のエベレスト登頂に挑戦した末、その頂上付近で消息を絶ったイギリスの登山家・ジョージ・マロリー。
 世紀末に遺体が発見されたものの、彼が世界初のエベレスト登頂を果たしたのかどうかは、今も解明されていない……

 

「山」

 ……「えっと、なにこれ『ヤマノススメ』?」って思った方、そうそこのあなた。この記事は『ラーメン大好き小泉さん』で間違いないので安心してください。


 というのも彼女、今日は山に登っているのです。

 薄く紅葉した木々と鳥のさえずりに包まれた空間を、息を切らしながら歩いています。普段運動はしてないでしょうから、少々キツそうですね。

 あと、前に垂らした三つ編みスタイルです。初めて見ます。

 

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〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 あ、シートを広げて、「マルタイラーメン」を取り出しました。ここで食べるつもりですね。
 ガスバーナーを組み立てて、コッヘルにお湯を沸かします。茹で時間は短めに、わけぎ、コーン、お餅を入れて2分30秒。


 ……なにこれ『ゆるキャン△』?

 

 


「いただきます」して、手作りラーメンを啜る小泉さん。

 ラーメン少女の後ろ姿を見やる、多数の登山客。彼らの心は「ラーメン」一色。カイジの「ざわ……ざわ……」オノマトペが浮かびそうなくらい、「ラーメン……ラーメン……」なってます。

 

小泉さん「ごちそうさまでした」

 エネルギーを補給し、再び登山に戻る小泉さん。
 まだ登るんだ……。てっきり、山にラーメン作りに来ただけかと思った。

 


 しばらく、小泉さんの登山シーンが続きます。
 あっ、「弁慶七戻り」だ。ということは、ここは「筑波山」ですね。

 壁と壁の間に巨大な岩がアンバランスに挟まっていて、岩の下を通るのにちょっと勇気がいるのです。あの弁慶さえも、恐怖のあまり七度も行きつ戻りつしたんだとか。
 真偽のほどは知りませんが、歴史に残ると分かってたら、弁慶も一発で通れたんでしょうか。

 

 

 

 山頂で、雄大な景色を望む小泉さん。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 老夫婦に頼まれてお二人の写真を撮ったところ、登頂記念にポラロイドで一枚どうかと問われました。親切なお爺様ですね。こういう自然と関わってると、「人間ひとりじゃ生きて行けない」と肌身で理解できたりします。

 逆に、己の身一つで大自然に挑むのが楽しかったりもするんでしょうけれど。

 

 しかして、記念写真については、はっきりとお断りした小泉さん。

「お気遣いなく。……私は、」

 

「登頂が目的ではないので」

 

 出ました小泉さん理論。
 確かに、このラーメン大好き小泉さんが、ただ山に登るはずがありませんね。では彼女は、

「なぜ山に登るのか?」

 と問われたら、一体何と答えるのでしょうか。

 

 

 

 下山途中にある、休憩スペース。

 そこには、多くの登山客の胃を満たすため、茶屋や飯処が構えられていました。のぼりの中には、「ラーメン」の文字も。


「たかはたや」にて、疲れた身体へのご褒美に、ラーメンを注文する小泉さん。
 いつもの通りに怒涛の勢いで食す彼女を見ていると、先ほどの答えが分かる気がします。


 なぜ山に登るのか?

「そこにラーメンがあるからです。」
                       小泉さん

 

 

 

「豚野郎」

 秋葉原の街を歩く、男子中学生がひとり。
 メイドさんに声をかけられて逃げ出す、坊主頭が初々しい男の子です。背も低めですし、一年生でしょうか。


 彼が訪れたのは、「秋葉原総本店 野郎ラーメン」。
 看板を確かめて入店し、食券機と向かい合います。意を決した様子で頼んだのは、1080円の「豚野郎ラーメン」。

 たっかいなぁ……。

 名前的に、最もオーソドックスな一杯ですよね。それでこの値段かぁー。……いや、基本形は「野郎ラーメン」かな?

 

 

 注文を終え、息を吐く男の子。ちょっと緊張してますね。

(前、中学の奴らと来た時は、俺だけ残しちゃったんだよな……)

 どうやらこの店、一杯のボリュームが多いタイプみたいです。それであの値段設定か。
 以前、食べ切れずに残したところ、同級生から「ケンタだっせー」とからかわれてしまったんですね。今日はそのリベンジマッチといったところでしょう。


 眼前に置かれた「豚野郎ラーメン」を睨みつつ、

(リベンジ……ッ! 今日は絶対完食するッ!)

 ケンタの意気や良し。

 

 

 と、彼のあとから入店してきたのは、ひとりの女子高生。金髪で赤目で色白で、もう誰だか分かりますね。来ると思ったよ。少年の隣に座りました。

 彼女の前に置かれたのは、「メガ豚野郎ラーメン」

 肉ももやしもドッカリ乗っかってます。第一話に出てきた特盛ラーメンに似てますね。

 


 大盛のラーメンと、金髪女子高生を見比べるケンタくん。

(あ~あ……。メガ……。もう見るからにゼッタイ俺と同じパターンになるよ、この人……)

 ケンタの未来予想図は、「思ったより多いよ~、もう食べられな~い」と涙ぐむお姉さん。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 オイ、誰だこれ。

 


(ノリでチャレンジメニュー頼んじゃったのかも知れないけどさ……)

 少年よ。
 人のことはいい、あなたの前にある試練を見るのです。他人の責任は、他人が取ります。あなたの人生とは関係ないのですから。

 

 そして……、

 人の中身は、外見通りとは限りません。

 

 

 


 隣の女子高生は、手を合わせて。

 一礼を伴った、「いただきます」の言葉の後に。


 カッ!!


 裂帛の気合を放ち、瞳を見開いた女子高生。

 大盛の具材の中から、箸の一突きで麺を探り当て、思い切り啜るその音たるや。チャーシューは大口開けて二撃で完食、そのまま一気にカタを付けるかの如く、

 

 ぞぞぞぞぞぞぞぞぞ。

 

 ズルッ   ズルルルル     ぱくぱく  ズル    ズルルルルルルル  

ばくっ   ズルッ    ばくばくっ   ズルルルルルルルッ  

   ばくっ    ズルズル      ズル         ばくばく      

 

 


(じょ、女子にしてはなかなか……っ!!)

 負けを認められないケンタくん。怒涛の勢いの前に完全に気圧されていると、


 ギロッ!!


 視線を感じたのか、隣のJKが急にこちらを向きました。

 口には麺を咥えたまま、獲物を狩るハンターの瞳で、彼女の言わんとしたことが、

 ケンタには、どうしてか、理解できたのです。

 

 


『伸びるぞッ、そこの豚野郎ッ!!』

 

 


 心の声で豚野郎呼ばわりされた少年は、我に返り、

(そうだ……っ。俺は今日、これをッ、完食しに来たんだ……ッ!!)

 手を付けられていない、一杯のラーメンに向き合いました。 

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〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 

 スープの絡む麺を啜り、巨大な肉に喰らいついて、次々と胃袋に収めていきます。

 人には、人の試練。
 自分には、自分の試練があって。

 目の前の試練へ立ち向かう以外に、己の人生を生きる術はないのです。

 

 

 

 後から食べ始めたにも関わらず、謎の女子高生と同じタイミングで食べ終えることに成功したケンタ。
 親近感を抱いて隣を向くと、上気した顔で、満足気に汗をぬぐう彼女の姿が。見とれた後に目を逸らす中学生、まったくもって初々しい。


「ラーメンの後のソフトクリームが、また……」

 とか言いつつスイーツに手を付ける女子高生に、「まだ食べられるのかよ……」と呆れるケンタくんです。

 

 


 彼が目を離した隙に、彼女は店を出ていました。慌てて外に出て、彼女の背中を探すケンタ。しかし、既に雑踏の向こうに姿を消した後でした。

 


『そこの、豚野郎……ッ!!』

 


「豚……、野郎……」

 投げかけられた(気がする)言葉と、力強い視線を思い出して。
 見ず知らずの彼女を、並んでラーメンを食べただけの女性を、どうしてか追いかけてしまう、己の心を持て余して。

 中学生は、秋葉原の路上に佇んでいました。

 

 

 

 

 その日の夜。

美沙「ケンター? 夕飯だってー」

 男子中学生の部屋にノック無しで立ち入るという一世一代のギャンブルに打って出たのは、悠の友達・中村美沙さん。


ケンタ「いらない」

 ベッドの上で丸くなっていたのは、「豚野郎ラーメン」へのリベンジを果たした男の子・中村ケンタくん。セーフ。


ケ「いま俺は、豚野郎で満たされてるから……」

 ザ・思春期な感じでワケワカンナイことを呟く弟に、

美「ママー、ケンタがキモイんだけどー」

 率直な意見を告げる姉でしたとさ。

 

 

 

「背脂」

 

 止められない、罪の欲求――

 それはまるで、降り重なる花びらのよう――

 

 


(秋! 食欲の秋っ! 負けてたまるかっ!! 減量、減量ーッ!!)

 ジャージ姿でランニングする、中村美沙。
 謎発言をする弟は置いといて、自らの体重と向き合ってます。向き合わなくてもいいと思いますが。ネリ選手じゃあるまいし。


 絶賛ダイエット中な彼女ですが、お腹が空いて力が出ない様子です。走っている途中によろめいて、前を歩く人にぶつかってしまいました。

 慌てて謝ろうとするも、


 小泉さんでした。

 

「人違いだからーーっ!!」

 誰のだよ。
 とツッコみたくなる捨て台詞を残し、ダッシュで去る美沙です。

 


 そういえば、最近の小泉さんは一段と綺麗になったと男子が噂していましたっけ。何か隠された美容の秘訣があるのかもしれません。

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〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 

 こうなれば、いっそのこと……!


(敵情を暴き出すッ!!)


 小泉さんに詰め寄り、「最近何か特別なことしてるでしょっ!」と、つやつやお肌の秘密を聞き出そうとする美沙。

美沙「何でもいいから教えなさいよっ(美容法を)」
小泉さん「…………(最近?)(特別?)。……あ。そうですね、ここ最近は、もっぱら――」

 

 

 向かった先は、「ラーメンの店 ホープ店」。

 やっぱりラーメンか。美容法じゃないのか。美沙も流れで小泉さんと同じものを頼みましたが、何かが多めとか言ってたような……


(まぁ、一杯くらいならチートデーという事で……。この一週間サラダしか食べてないし……)

 己に甘い美沙さんですが、現実は厳しい。
 なぜなら、彼女の前にやってきた一杯には、

美「スープ全体に、何かひらひらふわふわした物が大量に浮いてんだけど……?」
小「それは背脂です」

 

 背脂……ッ!!

 

 ダイエット中に、背脂……ッ!!

 

 

小「ここのお店は、ラードを溶かしたものを網で腰ながら器に振りかける、いわゆる背脂チャッチャ系ラーメンです。こうすることで、スープにまろやかなコクが出ます。最近は、ほぼ毎日これ。というか、抜け出せない背脂スパイラルに入りました

美「どういうことっ!? 怖いんだけどっ!!」


 背脂ひらひら、器までぎとぎとな一杯を前にして、躊躇する美沙。これを食そうものなら、これまでの(間違った)努力は一瞬で無に帰るでしょう。

 小泉さんに譲ろうかとも思いますが、


 つやあああぁぁっ。


 隣では、肌すべすべな恍惚の表情で昇天してる呑気な同級生がいます。人の気も知らないで美味しそうです。

 

 

(試しに、一口だけなら……)

 小泉さん効果により、ついつい日和る美沙さん。
 一口啜ると、


(なにこれ……? こんなラーメン初めて……っ!!)


 衝撃に打たれました。

(まったりしてるのに、見た目ほど脂のこってり感がない……! どういうこと……?)

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〈公式サイトより引用〉Ⓒ鳴見なる・竹書房/「ラーメン大好き小泉さん」製作委員会

 


 背脂チャッチャ系の魅せるアリジゴクに嵌り、気がつけば、

 

(やっちゃったぁ……。完食……、しちゃった…………)


 天高く。

 美沙肥える、秋。

 

 

 

 

 次の日。

「こてこてでっ」
「はぁい、こてこていっちょーー!」

 ずるずる。

 

 三日後。

「麺固、濃いめ、脂多めでっ」
「かしこまりましたぁーー!」

 ずるずる。

 

 五日後。

「ギタギタでっ」
「へいっ、ギタギタぁーー!」

 ずるずる。

 

 一週間後。

「あれ? 小泉も、今日はここなんだ」
「偶然ですね」


「お待たせしました、出来るだけこってり、二人前です。脂、足りなかったら言ってくださいっ?」


美(止められない……)
小(罪の欲求……)

 

 ずるずる。

 

((それはまるで……))

 

 


「「脂、追加で……」」

 

 

 

 

 

 まとめ。

『ゆるキャン△』では山梨名物ほうとう啜ってるわ、『小泉さん』ではコッヘル料理が出てくるわ、更にどっちも登山が絡んでくるわで、アニメの枠を超えた感じの不思議体験ができました。

 アニメに全く興味ない方が観たら、どっちがどっちか分からないのでは?

 

 ちなみに冒頭のマロリーによる名言ですが、日本ではちょっとだけ勘違いされてるみたいですよ。

 正しくは「なぜ、あなたはエベレストに登りたいのか?」という質問に対して「そこにエベレストがあるからだ(Because it’s there.)」と答えたのだそうです。「そこに山があるからだ」は意訳ですね。カッコイイけど。

 

 それと女性のみなさん、男性もですが、くれぐれも無理なダイエットには気をつけてくださいね。

一ヶ月で10キロ痩せました!」みたいな巷の声は、元々が適正体重大幅オーバーな方の話ですので。多くの日本人には該当しないパターンですね。
 一時的に無理をして体重を落としたとしても、それは減量に成功してるんじゃなくて飢餓状態に陥ってるだけですから。げんなりに成功してるだけですから。

 ちなみに、筋力付けて基礎代謝を上げたい場合は、走るよりも自重で大腿筋とかを鍛えてた方が楽ですよ。家でできるし。まぁ好みによるか。

 

 次回、「未知味の拉麺」「まわるラーメン」「挑戦受付中!!」。
 未知味って、そんなラーメン今までにもたっぷり登場しましたが。パインだのユーグレナだの。更に上を行くというのか。

 次回も観るぜ、ラーメン(火の国豚骨)食べながら。