『宇宙戦艦ティラミス』 第十話「BLACK IMPULSE/SUBARU, THE SPEED KING」

BLACK IMPULSE

「ようやく完成したか……。発注から二時間でよく出来たな」
「ペンキが足りないと、大騒ぎでしたね……」

 独立起動要塞メトゥス=ゲルメン内部に聳える新型機体。
 その巨体を仰ぎながら、イスズ・イチノセが感想を述べています。

 

 と、そこに。

 窓ガラスを突き破って、全裸の男が乱入してきました。

 


 驚いた様子もなく、男に話しかけるイスズさん。

「また遊び回っていたのか。我が弟のコピー生命体……、スバルBよ

 そう、褐色全裸で白髪、野性的な笑みを浮かべる彼こそ、スバル・イチノセのコピー「スバルB」なのです。

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉


「丁度いいところに来た。お前の超人的なユニバース値に見合う、黒色の機体! ……『デュランダル・ツヴァイ』が届いたところだ!」

「黒色」と書いて「こくしょく」と読ませるイスズ兄さん、ちょっと中二感を醸してます。まぁ、そもそも左目にお洒落眼帯を装備してる点からして疑いの余地はありませんが。

 

「我々は『黒い悪魔』と呼んでいる……」

 ええ、疑いの余地は(以下略)。

 

 

「オレの、専用機……」

 頼りない足取りで、黒いデュランダルへ歩み寄るスバルB。

「そうだ。それでお前のコピー元を叩くのだよ。……って、」
「オレの機体……」
「おい、ちょっ、そっちは俺のっ」


 スバルB、ケリュケイオンの方を気に入ったみたいです。物欲しげに眺めています。
 慌てて止めに入るイスズさん。

「おい、お前はこっちの黒い悪魔に乗るのだ」
「オレ、黒いのキライだぁっ!!」

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉

 

 イスズに牙をむいて威嚇するスバルB。
 ふむ、どうやら彼はまだ子ども、精神年齢は非常に幼いようです。これで女の子だったらまだかわいいのに……。

 


 しかし、イスズ・イチノセはこれでもお兄ちゃん。
 反抗するスバルBに虚を突かれつつ、怯むことなく諭します。

「……よぉーし分かった。一旦落ち着こう。俺もな? 黒ってホコリが目立つからイヤだったのね? でもね? 白の方が汚れが目立つのよ、実は

初めて車を買う弟の相談に乗る感じ”を出してきました。

 

 

 スバルBをなだめすかし、どうにかデュランダルツヴァイの方に乗り込んでもらったイスズさん。
 早速、スバルとの決着を付けに出撃します。

(スバルBは突然変異のコピー生命体だ……。不安定ではあるが、ユニバース値はスバルを優に超えている……)


(ケリを付けようではないか、スバル・イチノセ……!!)


 おお、お兄ちゃんやる気です。

 この『宇宙戦艦ティラミス』、腐ってもロボットアニメですから、最終回のクライマックスに向けて物語を加速させるつもりのようですね。

 これは、熱い戦いが期待できそうです。

 


 そして、

「ケリュケイオン、グリフォンモードッ!!」

 人型戦闘機ケリュケイオンを、グリフォンモードなる形態へ変形させました。
 羽の生えた四つ足の姿は、正に幻獣・グリフォンです。


 そのグリフォンの背中に、黒い悪魔が飛び乗りました。

「ッ!? どうした、スバルB!?」
「えへへっ、ははははっ!!」

 スバルB、カッコよくなったケリュケイオンに興奮気味です。またがって羽をつかんで頭ぐりぐりしてとやりたい放題。


「やめ……ッ、おいッ! グリフォンモードは乗れるように作られてないからぁッ!!


 ついにキレて、スバルBを叱りつけました。ちょっとしゅんとしちゃうスバルB。

 

 

 


 そんなこんなで、出会いの時は訪れたのです。
 デュランダルツヴァイのレーダーが捉えたのは、自身の機体と色違いの、白い専用機。

「見つけたぞ、オレのコピー……!」

 ケリュケイオンの頭を思いっきり踏みつけて、オリジナルスバルに向け急発進。
 その頃、白いほうのコックピット内では陰毛が身体を張って頑張ってることなんてつゆ知らず、大鎌を振りかざしたのです。

 

 

 

 

「黒い、デュランダル……ッ!?」
「スバルさん、来ます! 戦うんですスバルさんっ!」

 前回、余計なことをしてくれたパッカーくんに鼓舞され、意識を現実に戻すスバル・イチノセ。
 彼の両手には、千切れてしまった黒い縮れ毛が乗っています。


 大切な友を扱うかのように、そっと毛を包んで。

「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーッ!!」

 渾身の気合を込めて、敵に向かうのです。

 


 オリジナルとコピー、運命を賭けた戦いが幕を開けるッ!!

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉

 

 

 がしっ。


 切り結んでいるデュランダルツヴァイの肩を、人型に戻ったケリュケイオンがつかみました。

「スバルBッ! お前が無理にまたがったせいで……、人型に戻った時に、顎が閉じなくなってしまったぞ!(要するに壊れた)

 

「一旦帰還するぞ!」

 

 

 

 

 宇宙の闇に去って行く敵を見送りながら、

(いったい、何しに来たんだイスズ兄さん……)

 事態が飲み込めないスバルでした。

 

 

 

SUBARU, THE SPEED KING

「あの黒いデュランダル、スバルさんのデュランダルより性能がアップしてるです。きっと『メトゥスの民』の技術力が使われてますね」
「だからあんなに速かったのか……」
「でも! この高機動パーツで互角以上に戦えます!」

 デュランダルの機動力を強化する補助パーツの装着する間、敵の分析をするスバルとパッカー。


「あの黒い機体を叩けるなら、なんでもいい……。早く出撃許可をくれ!」

(スバルさん、お友達を守れなかった自分を、ずっと責めているように見えます……)

 

 


 高機動パーツを装着し、戦場へ向かうスバル。


(コックピットは俺の聖域だ……ッ!)

(哀しい争いが続くから……、みんな哀しいままなんだ……!)

(だから、俺が戦争を終わらせるッ!!)


 静かな闘志と、熱い覚悟を魂に宿し。
 黒いデュランダルとの決着をつけるため、超高速で宇宙を駆ける白い機体。

 

 

 やがて、レーダーは二つの敵影を捉えました。

「兄さんと黒い奴か……ッ!?」


『そこの白い機動兵器、ゆーっくりついてきなさーい』
「ネズミ捕りだとぉッ!?」

 

 お巡りさんでした☆

 スバルくん、やらかしちゃいました☆

 

 

 


 連邦宇宙警察によって機体を止められ、スピード違反の測定記録写真を見せられるスバル。
 最近は赤外線透過技術によってバッチリ撮れるそうです。

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉


(あー、G受けてる俺ひどい顔してるなー……)

 どうでも良いことを考えて現実逃避しつつ、免許を提示します。


「とりあえず降りて、パトロイドの後ろに乗ってくれる?」
「あ、はい……」
「デートにでも遅れそうだったの?」
「あ、いえ、戦場に向かう所だったので……」
「へーえ。じゃあこっちは、罰則金支払い用紙ね」
(うわぁ~、一万八千……。欲しかったスニーカー買えたなぁ……)

 さっきまでロボットアニメ全開だったのに、急にリアリティが溢れ出したな……。

 

 

「あれぇ? お兄さんちょっと匂うねぇ?」
「え? 出撃前に飲むわけないでしょうっ!? 僕、未成年だし、」

(ハッ!?)

 

(出撃前に食べた仕出し弁当にやたら入ってた奈良漬け、全部食べたんだった……ッ!!)

 

 ぴーんち。
 どんな事情があろうと現行犯は現行犯、お巡りさんは見逃してくれないでしょう。

 

 

「はい、これに息入れてくれる?」
「はい……」

(マズいぞ……。どうする……? スバル・イチノセ……ッ!?)

 このままではまた処分されそうな状況で、敵機が攻撃してきました。
 衝撃でお巡りさんは気を失い、スバルはパトロイドが装備する有り合わせの武器で戦う破目に。

 何故かコックピットに浮いていた「一日警察署長」のタスキをかけて、戦争を終わらせるための戦いに身を投じます。

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〈アニメ『宇宙戦艦ティラミス』公式サイトより引用 © 宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会〉

 

 パトロイドにあった、敵に対抗できそうな武器はというと、

「さすまたッ!?」

 さすまたは、相手と距離を置いて安全に対応することのできる道具です。
 ただ、そのためには、地面なり壁なりに相手を押さえつける必要があります。


 そして、ここは宇宙です。


 壁なんぞ、そうそうありません。

 

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉッ!!」

 宇宙歴、157年。
 スバルは、反則金を支払うだけでなく、40分近く、丁度いい壁を探す羽目になりました……。


「丁度いい壁ええぇぇぇぇーーーーッ!!」

 

 

 

まとめ。

 熱いバトルになりそうでならない、超脱力展開でした。
 パトロイドに止められた時のいたたまれなさとか……。

 それと、スバルのコピーくん「スバルB」ですが、思ってたほどの残念キャラじゃなかったですね。
 能力も高そうですし、これからどのように立ちはだかるのか注目です。