『SAO オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』 第十一話「イカれたレン」その①

『おーい。寝ちゃったか?』
『何が起こってる?』

 フカ次郎とボスの問いに答えるのは、

「全滅、させちゃった……。ピトさんが、一人で、六人……」


「私、あんなのに勝たなくちゃいけないの……?」


 弱気なレンでした。

 

 

残るは4チーム。

 14時20分。
 今大会、おそらく最後のサテライトスキャンが、四つの生き残りチームを知らせます。

 ひとつは、《LF》。
 レンとフカ次郎。

 ひとつは、《SHINC》。
 ボス、ターニャ、トーマ、ローザ。

 ひとつは、《PM4》。
 ピトフーイとエム。

 最後のひとつは、《T-S》。
 六人が六人、肌を一切隠した装甲装備の謎チーム。
 フィールドを囲む城壁の上を自転車で走るというシュールな戦法で、《ZEMAL》(全日本マシンガンラバーズ)を仕留めたダークホースです。

 

 

弱気なレン。

「どうすればいいの……?」

 瀕死でピンチだと思いきや元気で猟奇、そんなピトフーイを見て、弱気になるレン。
 彼女を倒すための虎の子「ピンクのスモーク作戦」も不発に終わってしまい、魔王に勝つ術を見失います。

「どうすればいい、どうすればいい、どうすればいい……? 作戦を、作戦を、作戦を、何か作戦を……」

 


 頭を抱えているレンの耳に、

『全員、一斉突撃開始!』

 ボスの野太い声が響きました。
 レンの判断を待たず、勝機も作戦もないままに、敵の待つログハウスへ突撃を始めたのです。

 


「自殺行為だよっ! 協力しないと倒せないよっ! 作戦だよ、作戦がないとっ!」

 SHINCの突撃に慌てるレンでしたが、その様子を見たフカ次郎は、

「じゃ、私も行くぜー」
「はぁっ!?」
「まあ見てなって。私たちがピトさんを生け捕りにして、簀巻きにしてここに連れて来るからさ!」

 そんな言葉を残し、そしてレンの足に結び付けたグレネードランチャーを一丁残し、無謀な突撃に参戦しました。


《MGL-140》は重量8キロなので、こうなると立派な足枷です。
 もう一丁はフカの右手にあったので、こっちは「左子」ちゃんですね。原作でも謎だった事実がアニメで判明しました。

 

 

気付いたエム。

 隠れる場所のない草原から、高さのあるログハウスに向けての、不利な突撃。相手がピトとエムだけあって、次々と撃ち殺されていきます。


 レンが、足の結び目が解けなくて焦る中、何考えてんのかワケワカンナイ仲間たちが無駄死にしていく中、

「笑ってた……?」

 エムは、撃った相手が笑顔で退場したのを見て、

「……ふ」

 相手の思惑に気付き、微笑しました。

 

 

もう多分ムリなフカ次郎。

「れ、レンよ……。我が相棒よ……。心して聞くがよい……」


『あたしゃもう多分ムリだこれ!』
「無茶な突撃するから!」

 ピトフーイに四肢を撃たれ、両手両足がどこかに行っちゃったフカ次郎。
「敵を死なない程度に痛めつけ、助けに来た仲間を仕留める」という作戦は、戦場では効果があるものの、ここはSJ、ゲームの中です。

 本当には死なない上、痺れる程度の痛みなので無問題、助けに行って無駄死にするプレイヤーはいません。

「結び目が解けないなら、ナイフで切ればいいじゃない」と理解し、左子から解放されたレンも、しっかり隠れています。

 


『でも、後悔も反省もしてないぞー?』
「しなよ!」
『さっきのレンみたいに、うじうじ悩むよりはいいじゃんか! やるだけはやった。きっと、ボスたちも……、満足してるよ』
「くっ……、くっそー! ピトさんだけでもさっさと殺ればよかった……!」

 

 

悩むレン。

 レンの脳裏に、今大会で潜り抜けた理不尽な障害の数々が蘇ります。

 思えば、最初から不運続きなSJ2でした。

 


(一番遠くに配置されて……、)

 

(邪魔が入って……、)

 

(弾丸減らされて……、)

 

(ようやくたどり着いたと思ったら、化け物みたいに強くて……、)

 

(作戦を考えようとしたら、みんな勝手なことして、どんどん死んで……、)

 

 

(なのに……、私は……、何もできずに震えてるだけで……!)

 

 


「あぁーっ、もう、いいっ! ピトさんなんてどうでもいいっ! さっさと優勝しちゃえばいいんだっ!」

 

「死ぬことなんて、ないっしょ……!」

「ピトさんの抹殺なんてもう知ったことか! やめだ、やめ! 私もこんな苦労しなくていい、死んじゃってもいい!」

 

 自暴自棄になり、「ピトを殺して自殺を止める」という使命を放り投げたレン。
 そんな彼女へ、仲間が問いかけます。


『ならば、どうするべ?』

 

 

イカれたレン。


『ならば、どうするべ?』


「ぶっ殺す!」

 


『誰を?』

 

「ピトさんっ!」

 


『どうやって?』


「知るかっ!」

 

 

 身を潜めていた草むらの中から、草原に今、ピンクのウサギが駆け出しました。目つきの怪しいウサギでした。

 

「何でもいいからとにかく撃ち殺す!! ナイフでもいい、他の手段でもいい、ピトさんぶっ殺す!!」

 

 リアルで言ってたらまず通報されるであろう、呪いの言葉を吐きながら、大地を蹴り続けるレン。

 


「イイね! ならボクも手伝うよ、レンちゃん!」
「よしっ! 行くよ、ピーちゃん!」

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 今回も喋った愛銃・ピーちゃんの言葉にごく自然に返答し、叫ぶのです。

  


『ピトさんぶっ殺――す!』

 

 通信アイテム越しの声を聞いていた、地面に這いつくばるフカ次郎は、理解しました。

「なるほど、これが……」

 

 

 そう、これが。

 前回大会優勝者の、真の姿。

 ボスが戦いたかった、倒したかったレン。


 イカれたレン。

 

 

 

まとめ。

 よぉーし今回も前後編だっ!

 なるべく長く楽しみたいからね、大変だけど分割しちゃうぜひゃっほう! 「好き」ってイイね!


 アニメではここまでAパート、Bパートではイカれたレンとピト&エムの戦いが描かれますよ。
 イカれたレンの死闘に刮目です。