ヒダマルのアニメ日記。

アニオタ・元保育士・隠れアスペルガーと、三拍子揃ったヒダマルがお送りするアニメ感想ブログ。アニメ関連の雑記や分析なんかもチラホラ。毎日午後8時に更新予定です。

ファン小説な話。 その③【魔法少女うしるん ~ウルシオールの願い・後編~】


 ~前回までのあらすじ~

 漆うしる(ヘルメットおじさんver)の姿を騙り、巷で悪事を働く謎の存在。その正体は、魔法少女の心の闇から発生する魔法生物《ウルシオール》でした。

 魔法具の研究に有用なため、成仏する前にひっ捕まえて日本魔法少女連盟に引き渡さなきゃなのです。

 ウルシオールの目的地・大阪へ赴いたうしるガールズは、果たして彼を捕獲することが出来るのでしょうか……!

 

 そして、ストレスのあまり幼児退行した漆うしるの運命や如何に……!

 

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その⑦

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 大阪の地に降り立った、漆うしるさん、風子ちゃん、ユキさん、シャルちゃんの四人。

「すっかり夕方ですねぇ……」
「ユキが途中の温泉処に片っ端から寄りたがるからじゃない!」
「降りかかる厄災……。突然の長期大阪出張……。現場は強制収容所……」
「お前はいい加減目を覚ませ」

 宮城から大阪まで、観光しながらやってきたみたいですね。
 そんな悠長にしてて、目当ての《ウルシオール》が願いを叶えて成仏したらどうするんでしょう。


「平気です。奴の目的は夜しか達成できませんから……」

 さいですか。


「しんかんせんはやいですぅ~……」

 うしるさんは、「メンタルとタイムのルーム」でのダメージがまだ残ってるみたいです。
 幼児退行しています。
 誰か、キャンディを買ってあげてください。

 

 

「ところでユキ。今回の件、日本魔法少女連盟からの特命ってことだったけど……」
「それが何か?」
「いや、お前って「悪い魔法少女」って立場じゃなかったっけ。そういうトコとは敵対してるのかと思ってたから」
「敵対? していますよ。

 私と日本魔法少女連盟は敵対(という建前の裏で闇取引を重ね、互いにwinn-winnの関係を築くための工作活動に尽力)しています」

「読みが不思議なことになってる!? そんな日本語知らないわ!」
「大丈夫。シャルちゃんも高校生になればこういった日本語(本音と建前をないまぜにして忖度を要求する、伝達機能の低い言語)も習いますからね……」
「習わねーよ!」

 

 

その⑧

「さて。目的地が大阪である点からして、ウルシオールの願いは明らかですが……。私の口から説明するのも面倒ですね……。ヒダマルさん?」

 だから。ユキさん。
 メタいのダメですってば。

 あとね、隙あらば地の文をこき使おうとするの止めてもらっても


「……………………(にっこり)」


 説明しようっ!!

 漆うしるはIT土方時代、突然命じられた長期大阪出張にて「エリートなんで今から仕事です!!(キリッ)」という一言を述べる機会を逸したため夜も眠れなかった経験があるのだっ!

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「ワゴンセールで半額シールが貼ってあるのに半年以上売れ残りつつ埃をかぶってるような安っぽいプライドですねぇ……」

 情け容赦ない寸評やめたげて!

 


「とにかく、ウルシオールが『エリートなんで今から仕事です!!』って言う前に捕まえればいいってことね?」

「ちがうもんっ!! (キリッ)がないとダメなんだもんっ!!」

 あ、起きました。
 メンタルをやられていた漆さん、復活しましたよ。よかった。


「(キリッ)が大事なんでござるよ(キリッ)が……。だってエリートでござるよ……? こちとら普段は末端の臨時作業員、永遠の就活生にして常時リストラ要員、人間扱いすらされず上位会社と経営陣から馬車馬の如く働かせられて……。そんな拙者がエリートを名乗れる瞬間なんて後にも先にもあの時だけ……。そりゃあ徹夜明けで疲れてても後悔の念で目が冴えるってもんでござる……」

 復活、したんですよね……?
 これは立ち直ってる、のかな……。

 

 

その⑨

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 ビルの影からひょっこり顔を出すうしるガールズ。

「シャルちゃん、よく見ておくといいですよ。あれが人間として運用されていないIT土方の背中です……」
「ええ。私はぜったい、あんな大人にはならないわ……!」
「久々に見たけど、立って歩いてるのが奇跡に思える顔色ね……」
「何も言い返せないご本人がここにいるでござる……」

 

 日が暮れた大阪、その繁華街を歩くスーツ姿のヘルメット眼鏡おじさん。漆さんの心の闇が具現化した姿です。

 この後キャバクラのキャッチにしつこく言い寄られますが、その前に捕獲するのです。

 

「うしるが色仕掛けで誘い込んで、ユキが捕まえちゃえば?」
「あのねシャルたん? 何が悲しくて自分の姿をしたおっさんを誘惑しないといけないの? どんな悪いことすればそんな実刑受けるの?」
「たしかに、絵面がキツイわね……」

 ヒダマルも描写したくないっすね……。

 

 


「私に任せてください」

 すっ、と前に出たのはユキさん。


「私の犬釘で四肢を貫いた後、空間転移魔法で連盟本部へ直接送り届けますので」

 最強の名は伊達じゃないですね。
 色々と反則気味ですよね。


 っていうか空間転移なんて魔法が使えるなら、そして一人でも解決できるなら、わざわざ仲間を引き連れて大移動しなくてもよかったんじゃ……?

「ヒダマルさん」

 なんすかうしるさん。

「ユキさんはね、昔から友達がいなくて、本当は寂しがりさんなんでござるよ……」

 ふむふむ。

「風子ちゃんとシャルたんもその辺わかってるから、いつも付き合ってくれてるんでござる」

 なるほど。
 お嬢様として生を受け、外面的には良好な人付き合いができるものの、心から信じあえる関係にはまだ慣れていないのですね……。

 あの凶悪な笑顔も、照れ隠しなのだと思えばちょっぴりかわい


「そこの二人、後でお話しましょうか……」


「お慈悲っ!」

 めちょっく!

 

 

その⑩

 どこからともなく、ユキさんの手に出現した犬釘。
 彼女の周囲を浮遊しつつ、標的へ照準を合わせました。

 ちなみに犬釘とは、鉄道のレールを枕木に固定するために使用されるものです。ユキさんのメインアームです。

 

 風子ちゃんとシャルちゃんは、もう仕事は終わったとばかりに気を抜いていますね。大阪の観光地とか調べてます。

 


 しかし、その傍らで、ひとり。

 

 密かに葛藤する、〇の子がいました。

 


「距離15メートル……。北北東よりの風、風速2メートル……。この条件なら外しようがありませんね……」

「これで……、終わりです」

 

 犬釘が打ち出されんとした瞬間っ!


「ムーンムーンムーンダッスンポイ!!」


 きらめきたなびくレインボゥ!!
 どこからともなくシューティングスター!!

 なまめかしい肢体をあらわにしつつ光のシルエット!!

 足元から具現化していく、魔法少女の衣装たち!!

 仕上げにシルクハットをかぶり、手にしたバールを縦横無尽に回転させて決めポーズっ!!


 魔法少女うしるん、ここに爆誕!!

 


「とぉうっ!」


 魔法少女のくせに戦隊ヒーローっぽく叫びつつ、大きく跳躍したうしるん!
 バールを振り降ろした先は……っ!


「させぬううぅぅぅぅっ!!」


 ガギィン!

 

 ユキさんの後頭部へ向かったバールは、新たに出現した犬釘に受け止められ、薄く火花を散らして止まりました。

「悪いが、やっぱり捕獲はさせぬでござるよ……! ウルシオールの願いは、このまま叶えさせるでござる……!」

 決意を込めた瞳を向けて、そう宣言する魔法少女うしるん。なんだなんだ、ここに来て主人公っぽいぞ。


 一方、もう少しの所で仕事を終え損ねたユキさんはというと、

 ゆらりと振り返りながら。

 


「……天国(うえ)へ逝きたいの?」

 


 ひい。
 笑顔、笑顔です。
 最強の魔法少女のみが放てる殺気を全開にして、ユキさんが笑っています。

 

「うしるっ!? 馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけどそこまで救いようのない馬鹿だったなんてっ!」
「あんたともここでお別れね! だいじょうぶ、骨は拾ってあげるわ!」

 場外からは温かい声援が。

 

 

「自分がなにをやっているか、分かっていますか、うしるさん……? このままでは、あの貴重なウルシオールが願いを果たし、霧散してしまうんですよ……?」

 なまはげも裸足で逃げ出しそうな殺気を全身からほとばしらせ、ユキさんがニコリと笑います。
 オノマトペは「ドドドドドドド」です。


 その圧力を受ける漆うしる、もとい魔法少女うしるんは、

「あいつは渡さないでござるっ!」

 抗戦の構え。
 前髪を風に揺らし、バールをしかと握りしめ、まっすぐな瞳でラスボスを倒さんと

「ヒダマルさん、なにか言いました……?」

「カボスをターザンと」って言いました。

 


「拙者の中から分離したウルシオール……。元はうしるきゅんの一部っ! あいつには、ちゃんと願いを叶えて成仏する権利があるでござるよっ!」

「奴を取り逃がせば、日本魔法少女連盟に六千万円程度の損失を与えることになりますが……」
「ぐっはっ」

 あ、折れかけた。
 現実的な数字を聞いて補償とか訴訟とかいう言葉が頭をよぎり、魔法少女の心が折れかけました。

 

 

「まあ、いいでしょう……。せっかくの機会ですから決着をつけるとしましょうか、魔法少女うしるん……」

 ユキさんが呟くと、いつの間にやらその手には、更に数本の犬釘が。
 そして、

「はっ!」

 気合と共に投げつけました。
 しかし、うしるんの持つバールの一振りで叩き落とされます。

「ふっ、バールと犬釘じゃ質量が違うでござるよ!」
「質量ねぇ……。では、」

 ユキさんはそう言って、優しく瞳をほそめ、おもむろに右手を掲げると。


 ぞ、ぞぞ、


「私は、物量で勝負するとしましょうか……」


 ぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞ。


 天を埋め尽くすように。
 何もない空間から、大量の犬釘が出現しました。

 

 対する漆さん、

「ふ、ひひひひひ……。こちとら『あの頃』の精神に戻ってるでござるよ……!! 今なら何も怖くないでござる……!! 作業員研修なんざ知らん……!! 上司が怖くて神戸観光できないでござるよ……!!」

 こっちはこっちで狂気です。
 今ここに、魔法少女同士の戦闘が幕を開けました。

「おい〇〇よぉっ!! 俺の睡眠時間返せーーーーっ!!」

 何の話でしょう。

 

 

その⑪

「あいつら、何考えてんだよもう……っ!」

 バールで弾かれる犬釘の流れ弾から逃れるため、安全な物陰へ避難していた風子ちゃんとシャルちゃん。
 行動が迅速ですね。こういうの慣れてますね。

「シャル、魔法少女の戦いって、こんな血で血を洗う感じなの!?」
「あいつらは特別だから! 変態なだけだから!」
「ウルシオールの方は……っ?」

 繁華街を奥へ進んでおりますね。
 ヘルメット被ってますから、そりゃ目立ちます。

 

 その時、ひとりの客引きが、ヘルメット男に接近しました。

 直後、ウルシオールの願いは達成されることでしょう。

 

 

「言わせません!」

 ユキさんの掌握する大量の犬釘は、彼女の腕の動きに合わせ、小魚の群れのように挙動を変えます。
 今まさに客引きに声をかけられんとするウルシオールに狙いを定め、鈍く重い切っ先たちが高速で迫り、

 

 


 …………どすっ、

 

 

「っ!?」
「うしるっ!!」
「アイツ……っ!」


 魔法少女うしるんの細い背中に、突き刺さりました。

 

 

その⑫

「ウルシオール……」


 背中に犬釘を刺したまま、ウルシオールと客引きの接触を見守る漆うしる。


「お前は……、なにも悪くないんだ……」


 ふらり、と。
 今にも崩れ落ちそうな身体を支えて、自らの過去へ、手を伸ばして。


「たしかに……、SESとかいうクソブラック業界にいて……、何ひとつ、いいことはなかったでござる……」


「あんな、世紀末の人売りみたいな奴隷ビジネスは……、今すぐ崩壊すればいいでござる……」


「ハッキリ言って、時間の無駄だったでござる……。人生の浪費でござる……」


「おかげで気付けば三十路手前、今年もひとりぼっちのクリスマスが待ち構えているでござるよ……」


「ほんっっっっっっとIT業界爆散しないかな……」


「そうだ、サンタさんにお願いするでござるよ……。子どもたちの夢を守るあの赤服ボランティア集団なら、まいにち良い子にしてるうしるきゅんの願いもきっと聞き届けて


 うしるさんうしるさん。


「なんでござるか……」


 クライマックスだから。IT業界への愚痴はまたの機会でいいから。もうちょっとテンポよく。


「あ、ごめんなさいでござる……」


 シクヨロです。

 

 

 

「お前がいたから、いまの漆うしるがある……。とは、言えないでござるよ……」

 


「それほどに、SESの闇は深かったでござる……」

 


「でも……」

 

 

「お前には、ちゃんと成仏してほしい……!」

 

 

「お前がこれ以上、誰かにこき使われる道へ進むなんて……。利用される道へ進むなんて……っ! 拙者には、許せない……! 見過ごせないでござる……!」

 

 

「だから……!」

 

 

 

 ヘルメットをかぶった男は、しつこい客引きへ振り返ると。

 

「エリートなんで今から仕事です!!(キリッ)」

 

 瞬間。

 スーツの輪郭がおぼろになり、ヘルメットは空へ溶け、重々しい肩は散り、

 消え去る間際には、眼鏡の奥、穏やかな瞳を。

 記憶の主は、向けられた気がしました。

 

 

 

その⑬

「はっ!? ここは誰!? 私はどこ!?」
「天然なのかボケなのか分かり辛いのよ馬鹿うしるっ!!(すぱぁん)」
「いたいっ!?」

 風子ちゃん、回復したうしるさんを条件反射でひっぱたきました。流石はツッコミ担当です。名人芸です。
 うしるさんの頭をごちんとアスファルトに放ると、そっぽを向いてあっち行っちゃいました。


 それにしても、うしるさんは多数の犬釘に貫かれて瀕死だったはずですが、

「このままじゃ私が悪者みたいですからね。今回だけ特別に、時間を巻き戻して治しておきました」

 ユキさんは神龍かなにかでしょうか。

 

「本当だ、どこも痛くないでござる……」
「ところでうしるさん……? さっきはよくも背後から攻撃してくれましたね……?」
「これから痛くなるパターンっ!!」

「次やったら、体内に直接犬釘を出現させて×××××ますからね……?」
「なにそれグロイっ!?」

「あるいは、またメンタルとタイムのルームに付き合ってもらいましょうか……」
「お慈悲ぃぃぃぃ!!」

「それと、魔法少女連盟への損害はすべてあなたに請求させてもらいますね……?」
「…………(昇天)」
「アンタたち、ほんといつも通りね……」

 

 

 

 やいのやいの聞こえてくる中、風子ちゃんはひとり、大阪の夜に手を伸ばし、 

 

「元気でね……。ウルシオール」

 

 明るい都会の、暗い夜空。

 目には見えない、喧騒から逃れた先にあるはずの星々へ、優しくつぶやいたのでした。

 

 

 

あとがき。

 みなさま、こんにちは。
 二次作者のヒダマルです。

『元IT土方の供述』に登場する女の子たちの物語、『魔法少女うしるん ~ウルシオールの願い~』前後編でした。

 改めまして、こちら↓が本家です。

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 いやぁ~~~~、楽しかった。

 そこそこ大変でしたが、それ以上に楽しませていただきました。

 

いつもアニメ記事でやってるような文体で小説を書けるか?」というチャレンジは、やってみたいと思っていたんですよ。

 蓋を開ければ、ユキさんが好き放題に動いてくれるので、筆が進む進む。

 気付けば一万字以上書いちゃってるというね。兎にも角にもキャラが重要ですよね。

 

 

 こんなにも楽しいファン小説だけど、小説を作れるくらいオリキャラが立ってるブログって、なかなか無いのが悩みです。

 そもそも漫画を載せてるブログを除けば、ヒダマルの知る限り負け犬さんの『落ちこぼれ戦記』と漆うしるさんの『元IT土方の供述』『シャルの甘美なる日々』のみですし。

 

 負け犬さんは既に小説化しとります。
 

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 あっ、おそざきらいちさんの『三十路手前の失踪者』にも期待してたり……。やっぱり、自分で絵が描ける人って強いのか。

www.osozakiraichi.com

 

 

 あっ、あとそれと!

 うしるさんといえば、イラスト制作のお仕事も絶賛受付中ですよ! 

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 地獄のSESから這いあがり、自らの技術で道を切り開かんとする意気! そして行動!

 ヒダマルは敬意を表するッ!

 

「そのうち余裕があれば」とか「いつか機会があれば」とか考える前にッ、その行動力を見習ってお仕事お願いしましょうやッ!!

 各種プロフィールアイコン、ブログのヘッダー画像、名刺や商用利用など、その他もろもろ要相談ッ、ちょっとハードなお願いして困らせるくらいが丁度いいんすよッ!!(他人事)

 

 ヒダマルは既にね、収入が一定以上になった暁には相談するって決めてるもんねッ!!
(いつになることやらッ!!)

 

 

 と、いうわけで。

 今回、六千万の借金を負ってしまったうしるさんですから、続きを作ろうと思えばすぐにでもやれそうです。

 あまり出番のなかったシャルちゃんメインでもやりたいなぁ。ぬいぐるみ出てないし。


 あ~楽しかった。


※漆うしるさん、ありがとうございました!